“Ç”コメディ監督からの卒業?「あの日の声を探して」

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THE SEARCH(2014)

監督:ミシェル・アザナヴィシウス
出演:エミール・ジゴ、
ベレニス・ベジョetc

本年度カンヌ映画祭の詳細を
見たとき、ブンブンは驚いた。
「あの彼が戦争映画を」と。

と言うのは、2年前に
唐突出品でカンヌを騒がせ、
アカデミー賞を
荒らしまくったフランス映画
「アーティスト」のミシェル・
アザナヴィシウスの新作が
明らかに今までとテイストが違う。

残念ながらブンブン、
「アーティスト」だけしか
観ていないが、他の作品の
予告編を観ても明らかに
違う。

今まで、フランス版「オースティン・
パワーズ」を制作していた彼が、
ユーモラスにハリウッド名作に
愛を注いだ「アーティスト」を
作り、今度はチェチェン紛争を
描く。すげー作品歴である。

一応リメイクです

ただ、やはりいきなり戦争ものは
きつかったのか、
フレッド・ジンネマンの
「山河遥かなり」を下敷きにしてます。

予習不足で「山河遥かなり」は
観ていないが、驚いたことに
リメイクとしては
かなり野心的、ハリウッドでは
できないことをしていたのだ!

まず、言語。
通常、ハリウッド映画は例え舞台が
ドイツやフランスでも役者に
英語を語らせ、違和感が
生じる。

しかし、「THE SEARCH」では
ロシア語、チェチェン語、
フランス語、英語と場面ごとに
使い分けている。

フランス人が監督しているのに、
ソ連・ロシア映画を見ているような
気分になります。

そして、ストーリー構成。
カットバック方式で、
2つの全く違う話をねじ込む
技が使われている。

ひとつは「山河遥かなり」
のプロットにそって、
母親を殺され失語症になった
少年に手を差し伸べる人と
少年を探す親戚の壮大な
物語。

そのバックで、
あるひ弱な軍人が少年の母親殺害
現場に辿り着くまでの長い道のりを
描いている。

監督本当は…

恐らく後者の映画が本当に
撮りたかったのだろうと
思う程サブストーリー感ゼロ。
「フルメタル・ジャケット」
以上にひ弱な軍人が
暴力的になっていく過程が
リアルで怖い。ってか、
ロシア軍の訓練鬼畜過ぎですw

そして肝心な少年の話、
冒頭から泣けてきます。
少年の悲しい決断を
難民保護施設の人に
エグられた時の彼の涙に
もらい泣きです。

まあ、EUの人が何故たまたま
道で彷徨うこの少年を
引き取ったのか?
何故、ロシア滞在のEUの人が
「ハラショー」レベルの
ロシア語も話さないのか?
といった問題はあるものの
カンヌらしい意外性ある
戦争映画に大満足でした。

本年度カンヌ映画祭のコンペ作品、
あからさまに変な作品は
少ないが(ゴダールのアレぐらい
しかない)良作揃いだな!

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