フランス映画

2021映画

【フランス団地映画】『GAGARINE』団地は青かった

カンヌレーベル2020に選出されたファニー・リアタール、ジェレミー・トルイ長編デビュー作『GAGARINE』を観ました。本作は2015年の短編映画の長編映画化であり、パリ郊外にある公営団地シテ・ガガーリンの解体直前に撮影された作品だ。シテ・ガガーリンは1961年に建設、1963年に落成した。ソビエト宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリンに因んで命名され、落成式には彼も訪れている。しかし、70年代からフランスの産業構造の変化に伴い、団地を離れる人が増えていき、団地を維持するために移民を受け入れるようになった。そして2019年から解体工事が始まり2020年、完全に取り壊された。本作は、そんなシテ・ガガーリンの最期がドラマチックに描かれた傑作であった。

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『みんなのヴァカンス』ギヨーム・ブラックは『おおかみこどもの雨と雪』がお好き

夏ですね、大人も夏休みですね。夏といえばバカンス映画ですね。数週間の休暇を取る文化があるフランスでは、毎年のようにバカンス映画が量産されている。カイエ・デュ・シネマの批評家もバカンス映画には目がなく、年間ベストにねじ込む傾向がある。さてエリック・ロメールはもはやおらず、ジャック・ロジエも映画を作らなくなってしまった時代のバカンス映画のスター監督は誰か?恐らく、ギヨーム・ブラックだろう。彼の作品は、ジャック・ロジエ映画に登場する女々しい男の目線でナヨナヨしたバカンス映画を撮る傾向がある。この気持ち悪さが癖になる監督だ。さてそんな彼の新作『À L’abordage』。フランス語で、「搭乗」、「偶発的な衝突」、「船が海岸に近づく行為」を示す言葉とのこと。ワンナイトラブをしてすっかり惚れ込んだ男が、彼女のいる場所に近づく。一緒について行った友人が別の女と邂逅、親密になると言う内容を暗示したタイトルになっているのであろう。ということで観てみました。