【ネタバレ解説】『未来のミライ』ベルイマンの『野いちご』から謎を読み解く

未来のミライ(2018)
Mirai(2018)

監督:細田守
出演:上白石萌歌、黒木華、星野源、
麻生久美子、吉原光夫、
宮崎美子、役所広司、
福山雅治etc

評価:90点


『時をかける少女』、『サマー・ウォーズ』等でポスト宮崎駿と賞賛されている細田守監督。そんな彼の新作が荒れているようだ。カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品され、海外の映画関係者から賞賛された。そしてRotten Tomatoesでは驚異の100%(2018/07/22時点)と高評価を叩き出した。高評価した媒体は、大衆よりの映画誌VarietyやHollywood Reporterだけではない。ハードコアシネフィル向けのVODサイトMUBIからも次のような賞賛の声が上がったのだ。

Unabashedly goofy, occasionally treacly, but often enchanting, Hosoda’s film captures both the elasticity and rigidness of childhood.
ブンブン訳:無邪気で馬鹿げた、時に甘ったるい、しかし魅力的なところが多い細田監督の映画は幼年期の弾性と剛性を捉えている。

しかし、日本では試写会の頃から不穏な空気が漂っていた。ブンブンの周りの映画仲間からは、試写が終わるや否や口々に不満の声が吐露されていた。基本的に、評価甘め、特に試写会後の評価は高めのFilmarks民ですら低評価が続出したのだ。そして迎える公開初日。さらに驚くべき感想が飛び交った。

「『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を観にいくと、おまけで『未来のミライ』が観られるよ」

どうやら、2012年からずっと音沙汰がなかった、庵野監督のサグラダ・ファミリアがついに完成の兆しをみせ、その特報が劇場で流れたらしい。と同時に、あまりに『未来のミライ』がつまらないらしい。


そして、ブンブンが参考にしている映画ブロガー、映画ファンの感想も軒並み《否》のベクトルに振れている。彼らの感想をじっくり読みたい心をグッと抑えて(ブログ書き終えたら読むとしよう)、TOHOシネマズ日比谷に向かった。

きっとブンブンも5千字クラスの酷評になるだろうな。明らかに、凡庸な物語そうだし(『ボス・ベイビー』とクリソツでは?)、いくら妹持ちブンブン、くんちゃんの気持ちが分かろうとも映画としては評価しないだろうと思いながら観た。

しかし…これがまさかの大大大傑作だったのだ!

そして嫌いな人が多いのも頷ける。

細田守監督の超個人的な作品で約100分間に及ぶマスターベーション。

そして、到底子供向けとは思えない難解且つトラウマな作品。むしろ、絶賛が多い方が異常なのではと思う程に狂っていた。

ブンブンは、セクハラ映画『おおかみこどもの雨と雪』から進化した細田守監督に完全に魅せられた。

なんと驚いたことでしょう。監督は、自分の子育て話。それも数年経ったら忘れてしまうであろう気持ちを一本の中に凝縮させた。そして自分内面にとことん迫っていく様子を、イングマール・ベルイマンの世界と重ね合わせることで凄まじいミクロコスモスを誕生させてしまったのだ。

今日は、そんな怪作『未来のミライ』について徹底解説・考察していきます。後半から、詳しくベルイマン映画と本作との関連性について語っていきます。

ネタバレ記事なので、未見の方は劇場へGO!

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