【ブンブンシネマランキング2017】新作洋画部門第1位は『希望のかなた』カウリスマキ引退するってよ!

2017年ブンブン映画ベストテン
(新作洋画編)

今年は昨年と比べても圧倒的に新作洋画のレベルが高かった。それこそ、今回選ばなかったがジム・ジャームッシュの『パターソン

』やメル・ギブソンの『ハクソー・リッジ

』、クリストファー・ノーラン『ダンケルク

』と職人監督が次々と傑作を放った。まさに今年はベスト20まであっても入りきらない作品が出るほど豊作でした。それではランキング行ってみましょう!

※青下線をクリックすると各作品のレビューが観られます。

10.マザー!(2017)

鑑賞環境:ブルーレイ
監督:ダーレン・アロノフスキー

ヴェネチア国際映画祭騒然!東和ピクチャーズがビビって日本公開中止にしてしまった問題作。なんと言っても監督が『π』『レクイエム・フォー・ドリームス』『ブラック・スワン』と数々のトラウマ映画を生み出したダーレン・アロノフスキー。観た知人曰く、「冒頭5分でネタバレ地雷原。何も話せない」「映画が観客をレイプする。」とのことだったので、ブルーレイを買って観ました。

なるほど、察しの良い映画ファンならある3つの映画のアロノフスキーアレンジ。パワーアップした『ブラック・スワン』。本作を語る上で引き合いに出す映画すら慎重に扱わないといけない程ネタバレ地雷原だった。町山智浩が他にも連想する作品が沢山ある中、何故あの映画を引き合いに出したのかもよく分かる程本作の面白さをネタバレなしで伝えるのは難しい。

ただ、この作品ほど日本人は観ないといけない。特に男子は観ないといけない。ジェニファー・ローレンスが次々と家に侵入する人々と対峙するうちに出来上がるミクロコスモスは、ある状況下の女性の不安を見事に象徴している。そして、ブーイング回避不可能な鬼畜過ぎるあのエンディングは、その状況下の女性に対する社会の冷酷さを皮肉った最凶のブラック・ジョークと言えよう。

ジェニファー・ローレンスの体調が心配になるほど胸くそが悪くなる傑作。未体験ゾーンの映画たち2019あたりで上映しないかなー

9.おとなの恋の測り方(2016)

鑑賞環境:新宿ピカデリー
監督:ローラン・ティラール

本作はアルゼンチン映画『ライオン・ハート

』のリメイクで、宣伝でも謳われている高身長俳優をCGや遠近法で低身長に魅せる技術こそ元ネタで既にやられている。しかし、ブンブンの心に響いたのは、絶妙なアレンジの仕方だ。主人公の女性は高身長女子。しかし常にヒールを履いており、決して低身長のカレシの前でヒールを脱ごうとしない。そう、ヒールを脱がないことでカレシへの尊敬、愛を表現しているのだ。こんな斬新な愛の描写に痺れた。そして、ヒールを脱がず愛を貫こうとするが社会の目で潰れそうになる様子がリアルな逆身長差カップルの苦悩を描写しており、隠れた傑作であった。日本で山崎紘菜や熊井友理奈を主演にリメイクしてほしい(男優が見つかれば…の話だが)。

8.A GHOST STORY(2017)

鑑賞環境:ブルーレイ
監督:デヴィッド・ローリー

日本では来年公開すると小耳に挟んでいる作品。ケイシー・アフレックがまさかの布を被っただけレトロなお化け役という異色作。台詞はほとんどなく、ケイシー・アフレック扮する交通事故で亡くなった男がルーニー・マーラ扮する妻の周りを徘徊するだけ。ケイシー・アフレックは話さないにも関わらず、立っているだけにも関わらず、後悔が癒えるまでの過程が『マンチェスター・バイ・ザ・シー

』よりもよく描けていた。

先日、パルコ配給が決まったようなので、2018年に日本公開されそうですね。

7.否定と肯定(2016)

鑑賞環境:マルタ行きの飛行機
監督:ミック・ジャクソン

今年は、ドナルド・トランプのごり押し政治、共謀罪の強行採決と激しい問題が勃発した年。だからこそ、この実話を観ると背筋が凍る。そう、これはホラー映画だ。ホロコースト否定論者と裁判沙汰になった歴史学者。感情的になればなるほど論理性が失われ、ホロコースト否定論者に揚げ足が取られる。まさに現実にもバットマンとジョーカーの対決はあった。

6.立ち去った女(2016)

鑑賞環境:イメージ・フォーラム
監督:ラヴ・ディアス

ブンブンのオールタイムベスト1位に君臨している『痛ましき謎への子守唄

』のラヴ・ディアス監督が作った怪物映画が遂に日本で一般公開されるとは誰が想像できたことでしょう。4時間かけて紡がれるある女の復讐譚。どのショットどのショット、いつまでたっても色あせること亡くブンブンの心に染みつく。これはDon’t think, Feelな映画だ!

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