【ネタバレ】『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』と『最後のジェダイ』の意外な関係性

映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活(2017)

監督:ウシロシンジ
出演:上白石萌音、千葉雄大、
田村睦心、関智一、野沢雅子etc

評価:70点

毎年恒例の『妖怪ウォッチ』今年も観てきました。妖怪ウォッチはシリーズものキッズ映画にしては毎回かなり歪な作品となっており、大人になってしまって気づくイマジナリー・フレンドとしての「妖怪」像を描いたり、実写とアニメを合成して『妖怪ウォッチ』とは何なのかを考察したり子ども向けにしてはトンデモない魔法をしかけてくる。今回はケイタたちが活躍していた時代から30年後が舞台とのこと。果たして…

『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』あらすじ

少年は大人になると妖怪が見えなくなる。かつて妖怪ウォッチの使い手として活躍していたケイタは大人になり、妖怪との縁が切れた。その中、新たな危機が地球に迫りつつあった。地球外から人々の怒りや憎悪に取り憑くウイルス鬼まろが人々を乗っ取り始めていた。人類を救う妖怪ウォッチの使い手を探していたウィスパーは一人の女の子に目を付ける…

妖怪ウォッチが考えるハリウッド大作論

今回の妖怪ウォッチは、『スター・ウォーズ』でありマーベル映画であった。なんと言っても、ストーリー構成はまさに『スター・ウォーズ/フォースの覚醒

』と『スター・ウォーズ/最後のジェダイ

』だ。伝説の妖怪ウォッチ使いケイタが大人になってしまった世界。妖怪は新たな妖怪ウォッチ使いを探していた。そんな中、平凡な少女がフォースに目覚め、妖怪ウォッチ使いとして目覚めていく。一方、別の妖怪にそそのかされて、ダークサイドに陥り、全人類を支配しようしようとする…って話がまんま『スター・ウォーズ』じゃありませんか。そして、えんま大王の歴史を知っているが故に一見チャラチャラしているがどんと構えているあたりは、ハン・ソロを彷彿させられる。

そして、この映画は従来の妖怪ウォッチファンへの挑戦状でもある。『ポケモン』や『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』といった大御所シリーズ映画が「永遠の小学生(サトシは中学生だっけ?)」でシリーズを続けているのに対し、本作ではホントウに時代を30年後に映している。画面に映るのは違和感の塊であるウィスパーでありジバニャンであり、コマさんだ。明らかに狂ったヴィジュアルの妖怪たちに、ウシロシンジ監督の反骨精神むき出しな様子がうかがえる。『最後のジェダイ』も従来ファンの接待映画になろうとはせず、新しいスター・ウォーズを語ろうとした映画。フィンに強引に付いてくるアジア人整備士ローズや、どもりのならず者DJなど観客を煽る登場人物配置に、フォースとライトセーバーのトリッキーすぎる使い方などから新たなるスター・ウォーズ像が見えた。本作も、まさに観客を挑発する作りでもって『妖怪ウォッチ』映画として新しい道筋を開拓しようとしたと言える。

それでもって、本作ではトンデモない隠し味をねじ込んで来た。それはゲゲゲの鬼太郎の世界観との融合だ。近年、マーベルを筆頭にDCコミックスや、さらにはシャマランの『スプリット

』など、様々な作品の登場人物を一堂に会する「ユニバース」スタイルの作品が増えている。映画作品を一本の作品として終わらせるのではなく、フランチャイズ化していく映画会社の戦略だが、まさかの『妖怪ウォッチ』も便乗している。流石は流行に敏感だ。

中二病心をくすぐる佳作

さて、いよいよ中身の感想といこう。これはかつて中二病だった者、これから中二病になろう者にとってインスピレーションがかき立てられる作品だ。なんといっても今回ダークサイドに墜ちる月浪トウマがこれまた良い味を出している。裕福な家庭で育っているが、親は毎日研究で帰ってこず、孤独に悩まされている彼は妖怪の魔の手に誘われ、驚異的な力を手にする。マッチョな手にトランスフォームし、腕には鬼眼ウォッチ(そんな名前だった)というど派手なものを装備している。そんな彼がヤンキーを叩きのめしたり警察を壊滅させるところには妙に熱くなってしまう。そして、彼が可愛いヒロイン・天野ナツメとゲゲゲの鬼太郎の手によってダークサイドから解脱した後、聖剣エクスカリバーの如く剣を抜き、巨大な敵に対し妖怪と超融合しながら決死の戦いに挑むところはもう心の中で「ファイト—-!」と応援してしまいました。

そう、これは学生時代いじめに遭っていた大人が観ると非常に心が温まる映画だったのだ。確かにあの頃のジバニャンやウィスパー、コマさんはいない。主人公達もケイタのようなカリスマ性がない。ただ、自分の期待通りのものがなくてもどこか憎めないところがある本作はまさに『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』であろう。

鬼太郎周りについて言わせてくれ!

本作は、かなり甘めの評価になっているが(中二病描写に大満足したためw)、一つ言わせて欲しい。それはゲゲゲの鬼太郎を映画が使いこなせていないということだ。折角ねずみ男やぬらりひょん、ねこ娘なんかを登場させているのだから、敵と戦わせてもよかったのではないだろうか。ただ鬼太郎が天野ナツメを月浪トウマの心へ潜入させる手伝いをだけという出オチこれはあんまりだよなーと思ってしまった。ユニバースをやるんだったらしっかりやってほしい。

妖怪ウォッチレビュー

「映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!」メタ発言多し実験映画

“Ç”「映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!」…世にも奇妙な物語だねw

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