『gifted/ギフテッド』少女と似た境遇のブンブンが語る生々しさ

gifted/ギフテッド(2017)
gifted

監督:マーク・ウェブ
出演:クリス・エヴァンス、マッケンナ・グレイス

評価:80点

『アメイジング・スパイダーマン』『(500)日のサマー』のマーク・ウェブ最新作。映画オフ会やどいらじでも絶賛されていたのでTOHOシネマズフリーパスポートを発動して観てきました。

『gifted/ギフテッド』あらすじ

天才的数学能力をgifted(=与えられた少女)を巡る、親と先生の葛藤を描いた話。天才的能力を引き延ばして国の役に立てようとするギフテッド向けの学校に行かせようとする先生と、父親の母。それに対し、呑んべえで田舎の港で船の修理をしている父親は、普通の少女であって欲しいと頑なにギフテッド教育を拒んでいた。大人のエゴとエゴのぶつかり合いが裁判へと発展していく。

自分の物語だった

本作を観た時、妙に懐かしさを覚えた。というのも私自身、あの少女と似た境遇にいたのだ。小学校に上がると、私はクラスの輪を乱していたらしく(あまり記憶にないのだが)、先生から自閉症を疑われ、何ヶ月も検査を受けさせられた。結局、「ただの個性的な人」という結果で終わったのだが、先生に怒りを宿した親は私に英才教育を施し、小学6年生にして漢字検定2級を取らせ、中高大一貫校に私を入れた。私が「映画」という武器を手に入れる前の話だ。

さて、話は逸れたが、本作は特殊能力を宿した者が幼すぎるあまり、大人のエゴとエゴによる血みどろな闘いが勃発してしまうというもの。厄介なことに、3者の正義は良いところもあれば悪いところもある。父親の母が英才教育を施そうとするのもよく分かる。このまま普通の生活をしたら、イジメられたりして凄惨な人生になるかもしれないからだ。

そして先生の気持ちもよく分かる。よく、学校現場や職場で障がい者と共存できるのかという議論が巻き起こる。外から見れば共存がモラル的に正しいとされるが、当事者になるとトラウマレベルで地獄を見る。私も入社時の外部研修で似たようなキツイ体験をした。暴言吐こうものならクビが飛ぶ、でも対処しないと授業の質が下がる。しかし、ヤツには輝かしい才能がある。ただ、追放するには惜しすぎる。この葛藤の中から出た最善の答えがまさに、ギフテッド向けの学校へ転校させるというWIN-WINな取引だ。

本作は天才少女役のマッケンナ・グレイスを始め、クリス・エヴァンス、オクタヴィア・スペンサーの好演もあり、美しくも残酷な現実を観客に突きつける作品だ。

あなたが、誰の立場で観るかで見方も十人十色違ってくるので、誰かと一緒に観ることを強くオススメします。

余談1:Don’t say

もし、学校や職場にギフテッドやそれに近い人がいても迂闊に本人に対して、それを言及しないこと。日本ではマジでクビが飛びます。

私が昔バイトしていた時に、マネージャーがその手のことを言及したことがありました。「病院行ったら」とまで言ってしまった彼は、次の月に職場を追い出されました。皆さん要注意です。

余談2:ナビエ–ストークス方程式の解の存在と滑らかさ
Navier–Stokes existence and smoothness

本作で、時たま登場するミレニアム懸賞問題『ナビエ–ストークス方程式の解の存在と滑らかさ』。調べてみました。

問題:3次元空間と(1次元の)時間の中で、初期速度を与えると、ナビエ–ストークス方程式の解となる速度ベクトル場と圧力のスカラー場が存在して、双方とも滑らかで大域的に定義される。

ナビエーストークス方程式:
{ρ(∂tu+(u⋅∇)u)=−∇p+μΔu+ρf(流体の運動量保存),divu=0 .(流体の質量保存)

ブンブン、物理学さっぱり分からないのだが、ざっくり解説すると、フランスの工学者ナビエ(L. M. H. Navier)とイギリスの数理物理学者ストークス(G. G. Stokes)が提唱した非圧縮性流体(温度や圧力を無視できるほど小さな流体)の運動を表したナビエーストークス方程式があるのだが、それは2次元レベルでしか証明されておらず、3次元でどのような動きをするのかを証明せよというもの。

そもそもナビエーストークス方程式自体謎が多く、解の基本的性質さえ、証明されていないというもの。

それにしても、物語でこの問題を使用するとはなかなか博打な気もするが、上手くまとまっていた。物理や数学の勉強をしている人が本作を観たらどう感じるのか気になりました。

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