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【クラシック】『サムライ』は『ブレードランナー2049』に影響与えた説

【クラシック】『サムライ』は『ブレードランナー2049』に影響与えた説

サムライ(1967)
Le Samouraï(1967)


監督:ジャン=ピエール・メルヴィル
出演:アラン・ドロン、
フランソワ・ペリエ、
ナタリー・ドロンetc

評価:85点

この前参加した推しシネバトルでプレゼンターの一人が紹介していた『サムライ』をようやく観ました。実は、中学生の時からフィルムノワールやじっくり淡々とした犯罪ものは観ず嫌いしていました。今年の下半期は、ジャン=ピエール・メルヴィルが熱いのもあり、挑戦してみることにしました。

『サムライ』あらすじ

ジェフ・コステロ、一匹狼。職業・暗殺者。今回も多額の報酬を貰い、セフレのジャーヌにアリバイも頼み完璧の状態で仕事を行った。しかしながら、暗殺現場を黒人歌手ヴァレリーに面が割れてしまったことから警察に狙われる。そんな中、新しい仕事が舞い込むが、なんとターゲットはその黒人歌手ヴァレリーだった!!

『ブレードランナー2049』の前半10分はまさか…

ブレードランナー2049』は町山さんも解説している通り、タルコフスキーにオマージュを捧げている。ただ、その陰に隠れて、『サムライ』の要素を盛り込んでいたことを本作を観た私は気づかされた。『ブレードランナー2049』の前半10分を思い出して欲しい。Kはほとんど話さず淡々とターゲットに迫る。ライアン・ゴズリング扮するKの立ち姿はもろ本作のアラン・ドロンそっくりだ。目線だけで、仕事人をアピールするところも『サムライ』の仕事人っぷりに通じるところがある。そして後半、ハリソン・フォード扮するデッカードとのバトルシーン。一応前作のオマージュなのだが、壁破りアクションも『サムライ』に通じるところがあり、また銃をギリギリまで使わない事による重厚感も非常に似ている。この『サムライ』は、ウォルター・ヒルやニコラス・ウィンディング・レフン、ジム・ジャームッシュに影響与えたことで有名だが、なんとドゥニ・ヴィルヌーヴにも影響与えたのかと思うと熱くなる。

そして、それも納得のクールなヴィジュアルと切ない物語に私も惹き込まれていった。

表情の美学

まず冒頭次のような引用から始まる。

IL N’Y A PAS DE PLUS PROFONDE SOLITUDE QUE CELLE DU SAMOURAÏ SI CE N’EST CELLE D’UN TIGRE DANS LA JUNGLE…PEUT-ÊTRE… LE BUSHIDO(LE LIVRE DES SAMOURAÏ)
訳:サムライの孤独ほど深いものはない。さらに深い孤独があるとすれば、ジャングルに生きるトラのそれだけだ…恐らく…『武士道(サムライの本)』

【仏語文法解説】
1.IL N’Y A PAS PLUS “形容詞” ”名詞”:”名詞”ほど”形容詞”ものはない。
2.CELLEの使い方:英語におけるthatと同じ使い方をする。この場合。CELLEは孤独を示す。サムライの孤独、トラの孤独二つの孤独を示すのに、CELLEを使うことで1文がスマートになる極めて文学的用法。
3.CE N’EST CELLE D’UN TIGRE DANS LA JUNGLE…:ガチで日本語訳にしようとしてはいけない表現。まずCE(この 英語におけるTHIS)が何を示しているのかを考える。「サムライの孤独ほど深いものはない。」だ。それを否定し、SI(もし 英語におけるIF)と繋げ、「トラの孤独」に着地させることで、「もしサムライの孤独より深いものがあるとすれば、それはトラの孤独だ」という意味になる。いやー痺れるフランス語ですな。

そして、暗殺者ジェフの1日が幕を開ける。鳥に餌をやり、街へ繰り出すや否や、ターゲットを見極め、そいつの車を盗む。無数の鍵を一つずつ試していく手汗握るアクション。目線だけでバレルかバレないかサスペンスを表現しきる、アラン・ドロンの顔芸にアンリ・ドカエのカメラワークに痺れる。そして、仕事を受注する際、彼は無言で手を出す。するとリボルバーが登場。警戒にリボルバーを振り回しポケットにしまうアラン・ドロンの手腕。これは真似したい!と心が躍らされる。この一連のシーンだけで、彼はサムライだという説得力がある。

そんな彼が、仕事で僅かなミスを犯し、警察沙汰になる。なんとかしてお縄は免れないといけない。しかし、黒人歌手に面が割れてしまっている。さぁどうしよう。ポーカーフェイスを貫こうとして、汗が、動揺が隠せずに表面に出かかっているシーンを観ると、「どうなっちゃうんだろう」とハラハラドキドキしてしまいます。

そう、『サムライ』は無闇にリボルバーという刀を抜かずして観客を楽しませる極上のエンタテイメントだ。そんな映画だからこそ、アラン・ドロンが銃を抜くと、興奮が絶頂に上る訳ですよ。

そして、アラン・ドロンがドンドン窮地に追い込まれ追い込まれ、そして最後に迎えるあの展開に切なくなった。

メトロのアクション、そして警察との心理戦総て込みで素敵なアクション映画でした。やはり観ず嫌いはよくないね。

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