【ネタバレ考察】『A GHOST STORY』賛否両論A24が放つカルト映画

ア・ゴースト・ストーリー(2017)
A GHOST STORY(2017)

監督:デヴィッド・ローリー
出演:ケイシー・アフレック、
ルーニー・マーラetc

評価:90点

アメリカのIMDbのレビューを読んでいたら、『ラ・ラ・ランド

』以上に賛否が分かれに分かれ戦争状態になっている作品を見つけた。その名も『A GHOST STORY』。『ピートと秘密の友達

』のデヴィッド・ローリー監督が撮ったアート映画で、『マンチェスター・バイ・ザ・シー

』のケイシー・アフレックか布を被ったレトロなおばけ役を演じた異色作だ。

またアカデミー賞を作品賞を獲った『ムーンライト

』のA24製作というところもミソ。『スプリング・ブレイカーズ

』『アンダー・ザ・スキン 種の捕食

』『スイス・アーミー・マン

』とトリッキーなカルト映画を多数製作する会社が新たにカルト映画を爆誕させたのだ!

ってことで観てみました。これは事前知識入れない方が良いので、これから観る人はそっとこのページを閉じて下さい。どうやら配給が決まったようなので、来年には観られると思います。

『A GHOST STORY』あらすじ

ミュージシャンのCは交通事故で死んでしまう。すると、布を被ったおばけに変身。とは言っても、人間には見えない。彼はMを見守る為に家を徘徊するのだが…

そして概念になる作品

本作はホラー映画ではありません。言うならば、『インターステラー

』のラスト30分を90分に引き延ばした作品だ。交通事故で亡くなった夫が、おばけとして人間だった頃の妻との思い出を成仏していくお話。おばけになったケイシー・アフレックは、時を駆けながら未練を浄化していく。

また、ケイシー・アフレック扮するこのおばけは話しません。ただ、妻の横に立っているだけです。5分近く、ルーニー・マーラ扮する妻が自暴自棄で飯を食いまくる横で、このおばけが立っている。人によっては退屈するでしょう。実際にIMDbのレビューで酷評する方は、このワンシーンワンシーン長々と撮る手法に「退屈だ」「オーマイゴースト!」とヤジを入れていました。

個人的には、この時間的長さが重要だと言える。人は大事なものを失ったとき、簡単に立ち直ることができない。通常の映画だったら、人間の立場でこの苦痛を描くのだが(それこそ『マンチェスター・バイ・ザ・シー』がその典型)、本作はこの世を去った者からこれをじっくり描いていく。それも、台詞はほとんどなく、ルーニー・マーラとケイシー・アフレックの立ち位置だけで表現しようとする画期的な作品だ。

そして、時を駆ける描写を入れることで、哀しみの忘れ方を概念としてしっかり説明することに成功している。人は哀しみに暮れると、過去や未来、そして現在がごちゃ混ぜになっていく。その混沌を超えたとき、自分を浄化することができる。これを、おばけに置き換えて演出することでユニーク且つ説得力をもった形となる。

置き手紙の意味

本作を観ると、一度では観逃してしまう描写がある。それは、机の置き手紙の描写だ。一見すると、ケイシー・アフレックからルーニー・マーラへの手紙のように見えるが実際に読んでみると、

M
I’m so very sorry.
Please call me if you need me.

Love.
Linda.

P.S. Let me know when if would the good to send over a painter for an estimate.

訳:
M(奥さんの名前)
マジでゴメン。
必要になったとき、俺を呼んでくれ。

愛を込めて。
リンダより。

P.S.
画家に送る見積もりを教えてくれ。もし良いのがいたら。

てっきり、ブンブンは最初ケイシー・アフレックおばけが死ぬ前に妻に宛てた手紙かなと思っていたのだ、違うものだった。
なのでラスト、ケイシー・アフレックおばけが家から引き出す手紙と、机の手紙は恐らく別物だと言える。

無神論者の意味

本作の最大のもう一つ論争を生んでいるところは、無神論者の配置だ。5分近く、無神論者がベートーベンの交響曲第9番の話を引き合いに、「神などいない」と厭と言うほど連呼するシーンがある。無神論者の話を、超能力も使えるようになったおばけの前で展開するユーモアさはもちろん。インテリぶっているが、自分の知識の外側に真実があることのある種皮肉になっているとも考えられる。

長々と「静」の描写が続く中、この「動」の描写を盛り込んだのは英断だと感じた。

好き嫌いは分かれると思うが、ブンブンはメチャクチャ好きな映画であった。

Dark Roomsの主題歌『I Get Overwhelmed』が神曲ですぞ!

ブロトピ:映画ブログ更新

ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です