「ベン・スティラー 人生は最悪だ!」ゴミ邦題に紛れた佳作

ベン・スティラー 人生は最悪だ!(2010)
Greenberg(2010)

監督:ノア・バームバック
出演:ベン・スティラー,
グレタ・ガーウィグ,
リス・エヴァンスetc

評価:75点

Netflixを見ていたら、「ベン・スティラー 人生は最悪だ!」という作品が目に留まった。いかにもアメリカンコメディのタイトルなのだが、この作品を撮ったのは「イカとクジラ」、「フランシス・ハ」と会話劇の凄腕ノア・バームバック。なので、本作は全くもって我々が頭に浮かべるような映画ではないのだ。

世の中には最悪邦題は沢山ある。本作の原題は、本作のキーパーソン「Greenberg」だ。

確かに、海外のサイトでは本作はアメリカンコメディとして扱われている上、日本でノア・バームバックの名前が認知されたのは「フランシス・ハ」以降なので、この舐めた邦題をつけてしまったのは致し方がないが、それだけに本作と出会うまで時間がかかった。果たしてどんな映画なのでしょうか?

「ベン・スティラー 人生は最悪だ!」あらすじ

ベトナム旅行に行くグリーンバーグ家は、精神病院から出たばかりの兄に留守番して貰うことにする。久しぶりにロサンゼルスに帰ってくるが、直面したくない過去と向き合う羽目になってしまう。そんな彼は家政婦と情事を繰り広げる…

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」を思わせる「苦」のドラマ

ベン・スティラーといえば、「サタデー・ナイト・ライブ」族のコメディアンだ。そんな彼が主演をやると、どうもライトなドラマになりそうだと先入観を抱いてしまう。しかし本作は第60回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品された作品。それだけに非常に奥深いドラマを魅せてくれた。

本作は、ベトナム旅行に行った富豪の代わりに、兄ロジャーが帰ってくるところから始まる。兄は最近精神病院を出たばっかり、無職の男だ。そんな彼は、久しぶりのロサンゼルスだからと昔の友だちに会う。しかし、好きな女の子は人生の伴侶を見つけ、生活基盤がある。昔のバンド友だちは、ロジャーのせいでバンドが上手くいかなかったことを今でも恨んでいる。昔の人と会えば会うほど、昔の傷と向き合わなければならない。そして行く先々の人々から「仕事は何やっているの?」と訊かれる。心がえぐられる。表面上は「今は自由だぜ!」「ロスの田舎者と俺は違うんだぜ!」と自分を大きく魅せるが、実際にはコミュ障で精神的にも不安定。不安に押しつぶされそうになっている。それをいやしてもらおうと家政婦に迫る…

こう、キツ過ぎる男をベン・スティラーが非常に繊細な演技で魅せてくる。ベン・スティラーは立っているだけで、コンプレックスの塊を体現している。物語の展開も全然読めず、とにかく未来も見えずに過去と現在の板挟みになる男の地獄にブンブン大満足でした。

やはり、「マンチェスター・バイ・ザ・シー

」が苦手だったのは、町山智浩さんの解説で物語の展開が読めてしまったからだったのだろうと感じた。町山智浩の解説は取扱注意ですな!

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