【Netflix】「最初に父が殺された」アンジェリーナ・ジョリーが描く歪んだ社会主義

最初に父が殺された(2017)
First They Killed My Father(2017)

監督:アンジェリーナ・ジョリー
出演:Sareum Srey Moch、
プオン・コンフィーク

評価:65点

先日9月15日に全世界同時でアンジェリーナ・ジョリー最新作「最初に父が殺された(First They Killed My Father)」がネットフリックス配信された。アンジェリーナ・ジョリーと言えば、今やUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)親善大使として活動しており、彼女の監督作には「不屈の男 アンブロ-クン

」という骨太社会派ドラマがある。

そんな彼女の新作はカンボジアのポル・ポト独裁政権を支えた過激派組織クメール・ルージュに入らざる得なかったルオン・ウンの回想録「最初に父が殺された 飢餓と虐殺の恐怖を越えて」の映画化とのこと。カンボジア映画の巨匠リティー・パニュが製作に加わっている本作がトロント国際映画祭上映と同時にネットフリックス配信とは驚きだが、観てみました。

「最初に父が殺された」あらすじ

1970年代、5歳の少女ウンは突然家族と共に疎開する羽目になる。疎開先ではクメール・ルージュの部隊に入る羽目になり、過酷な労働をさせられ、家族とも離ればなれになってしまう。そして、いつしか銃や地雷を持たされ、子ども兵士として育てられる…

行き過ぎた社会主義の闇

本作は、少女の目から見るクメール・ルージュを描いている。クメール・ルージュと言えば、非常に複雑な歴史的背景がありそうなイメージだが、アンジェリーナ・ジョリーは、多くの人にポル・ポト時代のカンボジアの惨劇を知って貰うべく非常に丁寧わかりやすく描かれている。

クメール・ルージュは、資本主義のアメリカ、そしてアメリカ側についていた南ベトナムの進撃に対抗すべく、活動していた。社会主義をモットーに、カンボジアの平和を訴えていたのだが、過激になりすぎて、逆にカンボジア人を束縛することとなる。人々の富は総て管理し、出る杭を打とうと、五人組さながら互いが監視し合う。労働も「自由」「平和」とうにんじんをぶら下げ、過酷な労働を強いる。ちょっとでも、秩序を乱そうものなら、暴力の制裁が加わる。

まるで、あさま山荘事件を思わせる凄惨な様子に、胸が苦しくなった。映像は、森林の緑と太陽光のコントラストをメチャクチャ美しく撮っているのに、内容はキツイ。「アンブロ-クン」の時も思ったが、アンジェリーナ・ジョリーは終わりが見えない地獄を描くのが上手い。

徹底したリアリズムで描かれるクメール・ルージュの惨劇に、知られざる世界の闇を学べた良作でした。「消えた画 クメール・ルージュの真実」と合わせて観たい作品でした。

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