【Netflix】チンチン落書き事件「American Vandal」が「三度目の殺人」の100倍傑作だった件

アメリカを荒らす者たち(2017)
別名:ハノーバー高校落書き事件簿
原題:AMERICAN VANDAL

制作:トニー・ヤセンダ、ダン・ペロー
出演:タイラー・アルヴァレス、
グリフィン・グラックetc

Netflixに衝撃のドキュメンタリー登場!


先日、Twitter上で、ユニークなドキュメンタリーがネットフリックスにアップされることを知った。それは、アメリカの高校で、チンチンの落書きが描かれる事件が発生し、その犯人を捜すという内容。

興味深いのが、誰しもが犯人だと思っていたチンチン落書き常習犯ことディラン・マクスウェルのチンチン落書きが、事件当日に描かれた落書きと微妙に違う。金玉に毛がないということだ。その差異を不審に思った放送研究会の生徒が、真実と犯人を捜し東奔西走するという、日本ではありえないような壮絶的なドキュメンタリーなのだ。

これは面白くない訳がない。

今回、その高校生が制作し、動画サイトに上がっていたものをNetflixがまとめて配信してくれたので実際に観てみた。普段はこの手のシリーズ物は紹介しないブンブンだが、これは今年の映画ベストテンに入れたいほど凄かったので紹介するぞ!

チンチン落書き事件の経緯

本作は、まず教職員の車27台に巨大なチンチンの落書きがされていたことから始まる。教職員は幾つもの根拠でもって、すぐに問題児ディラン・マクスウェルを自宅謹慎に追いやった。

根拠1:優等生による証言

まず、ディランの犯行現場を観た人がいた。それはアレックスという、教職員の間で評判の高い優等生だ。彼が事細かく事件の真相を語っていたので信憑性は高い。

根拠2:アクセス権

ディランはYoutuberであり、バカ仲間と一緒にくだらない動画(街中の赤ちゃんに放屁をして逃げたり、簡易便所の中に人がいるのに押し倒してクソまみれにさせるみたいな動画を撮っている)を撮りまくっている。そんな彼は機材目当てで、放送研究会に入った。

落書き事件のあった日、監視カメラの映像が消去されていた。監視カメラの映像を消す為には、放送室のサーバーで作業をしなければならないのだが、映像にアクセスできる権利を持っている人物は9人+教師1人しかいない。ディランはその1人であった。

根拠3:教師への恨み

ディランは不良で、授業を真面目に受けないが為に、何度も居残りや非行による処分を受けている。先生の恨みという動機が事件を引き起こしたと考えられる。

根拠4:食い違う証言

ディランの所属するYoutubeグループからの証言がかみ合わず、口裏合わせができていないことからアリバイが取れないという事実。

根拠5:チンチン落書き常習犯

ディランは、授業中にホワイトボードにチンチン落書きをよく描く。それも週4で描いている。だから、27台にチンチン落書きを描いてもおかしくない。

金玉に毛がないことから浮かび上がる疑惑

誰しもが、ディランが犯人だと思う。

しかしながら、放送研究会の1人はある違いを発見する。

「ディランの描くチンチンには金玉に毛があり、形も簡単だ!」

事件で描かれたチンチンは、先端の部分がハート型になっており、金玉には毛がない。しかし、ディランの描くチンチンは、過去をずっとさかのぼっても一度も金玉に毛を描かなかった事はないのだ。それに疑問を持った放送研究会の人たちは、ディランの無実を晴らすためにドキュメンタリーを撮り始めたのだ。

高校生ですよ!高校生なのに、原一男か!とおもうほど体当たりで危険なジャーナリストっぷりを魅せてくる。

まず、調査をするうちに浮かび上がってきたのは、優等生だったと思っていたアレックスがかなりの虚言癖だったこと。彼の話す事の多くはウソや誇張で、段々と彼の発言に信憑性がなくなってくるというところ。

そして、取材が進められていくうちに、ディランがFTPを使って監視カメラのデータを消す技術を持っていなかったり、一見まともな教職員や他の生徒の裏の顔が見え隠れしていく。

観ているうちに次々と衝撃の事実が明らかとなり、観客も誰が犯人なのか、誰が黒幕なのかがわからなくなってくるのだ。

丁度、先日「三度目の殺人

」評で、「ミステリーを通じて、日本の裁判システムの闇を描いた」と称したが、まさに本作も一緒。最初から、犯人を決めつけて、彼が犯人になるようなエビデンスを集めていく。人間の思い込みの怖さ、大きなシステムに抗えない容疑者の哀しみというものを本作からも感じ取った。というよりも「三度目の殺人」の100倍面白い。言っちゃ悪いが。

高校生の取材力に感動した!

近年、日本のテレビは経費削減の為か、事件があったらTwitterやWeb上の二次情報をさらっと加工して放送し、炎上することがよくある。だからこそ、テレビ局の人、いやジャーナリストは全員本作を観てほしい。

本作はディラン無罪説をベースに取材をしていくドキュメンタリーだが、常に中立を保っており、すべての発言や現象においてエビデンスを取り論理的に真実を探そうとしている。時に意見の対立で、放送研究会の部員同士喧嘩することもある。先生を敵に回して単位を落とす危機にまでさらされる。しかし、決して妥協することなく調査を進めていく彼らに感動した。この放送研究会の部員の将来が楽しみでたまらない。そして、そんな高校生の作った動画を配信したNetflixの凄さに感動した。

是非、普段海外ドラマやシリーズものを観ないそこの貴方も「アメリカを荒らす者たち(AMERICAN VANDAL)に挑戦してみてください。

実は「FAKE」だった!


この記事を書いて、Twitterで本作の興奮を書きまくっていたブンブンですが、とある方から、凄い指摘を受けました。それは本作が「ドキュメンタリー」ではなかったのです。ドキュメンタリーに見せかけて、役者が脚本に沿って演じているモキュメンタリーだったのです。日本にも「放送禁止」というこの手の作品はあるものの、あまりのリアルさに衝撃を受けました。

本記事の前半部分では、思いっきりドキュメンタリー映画を観ている雰囲気で書いているのですが「FAKE」です。でも、それも含めて凄い作品なので、あえて修正せずにアップしました。

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