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【したコメ】「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」は何故ヒットしたのか?

【したコメ】「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」は何故ヒットしたのか?

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017)
IT(2017)


監督:アンディ・ムスキエティ
出演:ジェイデン・リーベラー,
ビル・スカルスガルド,
ジェレミー・レイ・テイラーetc

評価:80点

先ほど、第10回したまちコメディ映画祭in台東の企画「映画秘宝まつり」にて「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」を観てきました。ピントくる方ならご存じだろう、あのスティーヴン・キング原作のホラー映画「IT」のリメイクだ!

↑このピエロさんが襲ってくるよ♪

1990年に制作された「IT」は、ホラー映画としては破格の上映時間3時間7分となっていることや、「ロッキー・ホラー・ショー」のフランク役でお馴染みティム・カリーの顔芸で映画ファンを虜にした作品。
あれから、20年以上経ち、再びリメイクされました。監督は、ギレルモ・デル・トロに発掘された監督アンディ・ムスキエティ。そしてピエロさん(本名:ペニーワイズ)を演じるのは、「シンプル・シモン」でアスペルガー症候群の少年を演じたビル・スカルスガルド(名優ステラン・スカルスガルドの息子)。

ヴァラエティ誌によると、先週末アメリカで5000万ドルの興行収入を獲得する大ヒットっぷりを魅せているとのこと。

果たしてどんな作品に仕上がっているのでしょうか?日本公開は11月3日(祝・金)と先なのですが、一足先にウォッチしてきたので報告します。

「IT(2017)」あらすじ

メイン州デリーで、子どもの失踪事件が相次ぐ。いじめ、家庭内暴力、吃音、転校してきたはいいがボッチ等、様々な理由でスクールカースト最下位にいる少年少女は、ピエロの悪夢に悩まされる。そして、お互いに協力してピエロを倒そうとするのだ…

美しき「スタンド・バイ・ミー」

実はブンブンは、1990年に作られた「IT」を観ていません。元々、ホラーは苦手ということもあり3時間は耐えられないだろうと未だに観ていません。本作も2時間15分と長尺の為、心配でしたが、これが意外と大丈夫でした。というのも、基本話のベースは青春ドラマの傑作「スタンド・バイ・ミー」なのだから。そもそもスティーヴン・キングは1982年に「恐怖の四季」という作品集で「スタンド・バイ・ミー」を書き、その4年後に「IT」を書いています。そして、当時スティーヴン・キングは殺人ピエロことジョン・ゲイシーの事件に惹かれていたこともあり、「スタンド・バイ・ミー」は「IT」を書く練習だったとも捉えられるのです。

それだけに、映画を観ると非常にみずみずしい青春ドラマが繰り広げられていました。いじめ、家庭内暴力、吃音など様々な問題を抱える男女が、夏休みに「ピエロ」という共通のキーワードでもって一つになり冒険する(「グーニーズ」っぽさもあり懐かしい!)。そしてピエロやいじめっ子、毒親を克服していく、それも淡くピュアな恋心や友情を交えて描いています。

本作は、確かにメチャクチャ怖い。ピエロの顔芸に頼らない様々なアプローチで息をつく間もなく観客を恐怖のどん底に陥れているんだけれども、ふと恐怖シーンが終わると、少年少女のくだらないトーク(9割男子校のノリですw)にクスクス、いやゲラゲラと笑えてきます。

そう、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」は腹筋崩壊級の笑いと腹筋粉砕級の恐怖がノスタルジーに包まれて提供される極上のホラー料理なのです。

「イット」の本当の意味

町山智浩の解説によると、「IT」の日本語訳は正しくないとのこと。

小説や映画では「IT」を「それ」と訳しているが、実は鬼ごっこにおける「鬼」を示すのだそう。

しかし、ブンブンはこの映画を観て、もっと深い意味があるのではと考えました。確かに訳す分には「鬼」でも良いとは、思うが、本質はもっと別なところにあると思う。それも「鬼」というニュアンスで本作が作られているのなら、ここまでヒットはしなかったでしょう。

ブンブンは、「IT」の本当の意味は「乗り越えるべきもの」だと思う。

この映画に登場する少年少女はピエロという悪夢と戦います。しかし、そのピエロは人によって全く違う。これは実際に観てからのお楽しみだが、これだけは知っておくと良いでしょう。それは人によって怖いモノは違うというところ。本作に登場する少年少女は強烈ないじめだったり、家庭内暴力だったり、弟の死、吃音といった問題を抱えています。ピエロは少年少女のコンプレックスだったり悩みを具現化したような形で襲ってくる。それを友情で乗り越えていく。

つまり、この映画は誰しもが持っている悩みを克服する映画なのです。

一人では恐怖で押しつぶされそうなものも、例え戦闘力スライムレベルの負け犬しかいなくても、互いに絆を深め合うことでピエロ、いや、敵、それも違う、まさに自分が乗り越えるべき「IT」を克服していく話になっているのです。こんな激アツ展開に燃えない人はいないでしょう。特に、負け犬経験がある人にとっては思うところがあるだろう。

だからこそ、怖い怖い映画だし、ぶっ飛んだ映画なんだけれども、観客の心を鷲掴みにする。

メチャクチャ怖いんだけれども、ノスタルジックで笑える素敵な作品になっていると言える。

映画業界でもガラパゴス化が進み、世界の興行収入を無視した結果をたたき出しまくる日本ですが、これは沢山の人に観て欲しい。ヒットして欲しい!コンプレックスを持っていたり、トラウマを抱えている人にとってサイコーの処方箋になりゆる傑作と言えよう。

余談:「20世紀少年」の原点

町山智浩の解説によると、「IT」は浦沢直樹の「20世紀少年」の原点だそうです。「えっつ本当なの?」って思った人は是非とも、原作でも1990年映画版でも、本作でも良いから観てください。きっと納得するでしょう。
日本公開は11月3日(祝・金)です。

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