【ネタバレ解説】実写版「ジョジョの奇妙な冒険」は世界観と小松菜奈がグレエトだぜ!

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章(2017)

監督:三池崇史
出演:山﨑賢人,
神木隆之介,小松菜奈,
岡田将生,
新田真剣佑,
観月ありさ,國村隼,
山田孝之,伊勢谷友介etc

評価:70点

映像化不可能な漫画を次々と映画化し、大草原をはやしまくっている、日本の宝こと、三池崇史。そんな彼の新たな挑戦は、荒木飛呂彦に向けられた。どちらも1960年生まれ・鬼才という共通点。荒木飛呂彦の異常なまでの美学に映像が追いつけるのだろうか?昨年、「テラフォーマーズ」というトンデモ映画を作ってしまった三池崇史。しかし、なんとスイスで開催された第17回ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭で観客賞を受賞しているという情報を耳にした。果たしてどうなのか?原作未読のブンブンはNetflixでアニメを16話程観て臨みました。その結果は…(今回はネタバレ記事です)。

「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」あらすじ

M県S市にある杜王町に住む高校生・広瀬康一は、チンピラに絡まれているところを同級生である東方仗助に助けられる。次第に仲良くなっていく二人だったが、東方仗助には「スタンド」と呼ばれる特殊能力があった。それにより、混沌に包まれる杜王町。広瀬は指をくわえて次々と迫り来る刺客と対峙せざる得なくなる…

見事な映画化だった!

観る前まで、侮っていましたが、良い意味でも悪い意味でも見事な映画化でした。三池崇史はしょっちゅう漫画ものの映画化を任せられ可哀相だなと思うのだが、今回の作品を観る限り、三池崇史監督も映画化にかなり意欲的。且つ、周りからの圧力も少なく伸び伸びと製作できたのではと思うほどに清々しい作品でした。

まず、実写版について語る前に日本の漫画史にとっても非常にトリッキーな内容な「ジョジョの奇妙な冒険」の概要について語ります。

「ジョジョの奇妙な冒険」とは?

ブンブン、予習で本作に触れる前は、てっきり「ジョジョ」という人が冒険する話だと思っていました。その反応は正しく、アメトークで特集が組まれた際にも、雨上がり決死隊の二人が同じような反応をされていました。

しかし、荒木飛呂彦が放つ「ジョジョの奇妙な冒険」はそう単純ではなかった。本作は、「ジョジョ」というあだ名を持つ、人種も全く違う者(ジョースター一族)がそれぞれの世界で吸血鬼や超能力者などといった宿敵と戦う大河ドラマです。主役が変わると、パートが変わるシステムとなっており、現在第8部まで続いています。今回、映画化されたのは、比較的映像化が容易な日本人の「ジョジョ」こと東方仗助が主役のパート。スタンドと呼ばれる特殊能力を持つ者同士が戦う内容になっています。

「ジョジョの奇妙な冒険」が映像化不可能だと言われた理由

本作の実写化が決まった際、Twitter上や映画オフ会界隈では、「これ無理でしょ!」と嘆かわしい意見が飛び交っていました。ブンブン、残念ながら漫画は未読ですが、アニメを観ただけでも「無理そうだな…」と思いました。

というのも、確かにこの実写化プロジェクトは、比較的映画化しやすい第4部を選んでいる英断をされている。しかしながら、2つの理由で映像化は難しいと感じました。

1.雰囲気

「ジョジョの奇妙な冒険」の世界観は、アニメを観れば分かるとおり、紫を基調としたサイケデリックな雰囲気が漂っています。日本が舞台なのに、日本じゃない感じ。でもどこか日本っぽい、この歪んだ世界をどう映像化するのか?スタンドの演出込みで、かなりのVFX,CG技術を要するので、日本では映像化不可能。ましてや「テラフォーマーズ」の陳腐な映像を魅せられている為、なおさら不可能だと思いました。

2.テロップ芸

アメトークでも予習したのですが、「ジョジョ」の魅力は「カイジ」同様擬音によるテロップ芸にあると感じました。アニメや漫画では「ズキュゥウウウン」「ドドド」「ゴゴゴ」「ウンまあ~いっ」みたいな擬音の表現をこってこての暑苦しいテロップで表現しています。しかし、映画でそれをやってしまうと、安っちいテレビ屋映画(今回、実際にTBS映画だしね)に成り下がってしまう。それを乗り越えるKUFU!が必要でした。

実写版ジョジョの凄いところ1:海外ロケを逆手に取る

さて、前置きはこれぐらいにして、実写版「ジョジョの奇妙な冒険」が思いの外良かったので、魅力を一つずつ紐解いていくとしましょう。まず、本作一番の壁である「雰囲気」は、スペインロケという手で克服していました。この冬公開の「鋼の錬金術師」がイタリアでロケをしていたのは知っていたのですが、まさかのジョジョも海外ロケを敢行していました。

よく、シネフィルの間で、邦画が海外ロケをするとろくな事がないという話を耳にします。スタッフの観光映画に成り下がってしまうのはもちろん、現地人をコマの一つにしか考えていないような作り方によって海外ロケをしているにも関わらず、張りぼてセット感が浮き出てしまう問題があります。

それを三池崇史監督は逆手にとって、見事なまでに原作の歪な雰囲気を再現していました。今回、スペインでロケをしたのだが、どうも張りぼて感がある。どこまでがセットで、どこまでがリアルなのかが分からない。現実離れした空間がそこにはありました。まさにブンブンがアニメの第1話を観て、「なんなんだこの世界は??」と思ったあの感覚を忠実に演出して、感動を覚えました。

実写版ジョジョの凄いところ2:テロップなんかに頼らない!

観ていて、気づいたのですが、本作には、アニメや漫画にあったこってこてのテロップは全くありません。その代わりに、スタンドを使った常軌を逸したアクションに一点集中させ、また役者の演技に注力させることで、テロップがなくても、原作同様の高揚感が得られるシステムとなっていました。全く…グレイトだぜ!

実写版ジョジョの凄いところ3:無駄のないストーリー

三池崇史監督は、あらかじめ本作は1作で完結しないことを明言しています。それ故に2時間という短い尺の中で過不足なく、最大限の要素を詰め込みました。まず、物語は漫画の巻数で言うと29,30巻の僅か2巻分。アニメでも6話ぐらいまでの範囲しか扱っていません。つまり虹村億泰・形兆戦までの映画化なので、広瀬康一のスタンド「エコーズ」の能力が明らかにされず終わります。しかも、広瀬ストーカーである、山岸由花子の正体も謎のまま終わります。中途半端に人物描写するのではなく、描ききれない部分は潔く次回に回す勇気にブンブンは感服しました。意外と、邦画の漫画原作映画にない展開です。

実写版ジョジョの凄いところ4:キャストが際どくも最適解

本作は、キャストがいかに原作に寄せられるのかといった問題が残っていました。それでは一人ずつ観ていきましょう。

東方仗助(山崎賢人)

意外と、原作にソックリでした。スカした感じ。と妙にB級なキレッぷりが見事に再現されていました。

空条承太郎(伊勢谷友介)

多少の違和感はあれど…まあ大丈夫かな。

広瀬康一(神木隆之介)

Mr.4等身!遊☆戯☆王に例えると、武藤遊戯にあたるへっぽこ決闘者こと広瀬を演じているのが、なんと神木隆之介…しょうがないんだけれども、本当にしょうがないんだけれども似ていない…

駄菓子菓子!やはり神木隆之介は観客を映画の世界に惹き込む力があるためか、観ていくうちに慣れますw

今回、「スターウォーズ/フォースの覚醒」同様、広瀬が覚醒するだけの作品なので、特に活躍はしていなかったが、次回作でどうギャップを埋めるかが勝負だぞ!神木隆之介!

山岸由花子(小松菜奈)

実は、本作の中で一番原作に忠実だったのが小松菜奈演じるサイコパスストーカー女・山岸由花子。尺の都合上、広瀬監禁事件は描かれていなかったものの、カノジョのサイコパス度を1000%フルドライブで小松菜奈が熱演していました。登場時間僅か10分にも満たないのにこの存在感。次回に期待!

虹村億泰(新田真剣佑)

今回の敵である、「ザ・ハンド」の使い手・虹村億泰を演じたのがまさかの真剣佑(まっけんゆー)。似てなさ過ぎて大草原でしたが、これも神木隆之介同様、観ているうちになれます。あの名言が虹村億泰の口から放たれるので痺れますね。

惜しい部分もあった

本作は、個人的に映像化不可能な作品を限界まで映像化して見せたという点で100点の作品と言えます。恐らく、何も知らなくても普通に楽しめるレベル。スイスの映画祭で観客賞を獲るのも納得のクオリティでした。

ただアニメ版が、結構グダグダなストーリーテリングだったのも再現されてしまっているのが少し残念でした。そう、「ジョジョの奇妙な冒険 第4部」は画力でごり押しする作風なので、ストーリーテリングが結構グダグダという欠点があります。また、常軌を逸しすぎたスタンドについていけない人が出るのも致し方がない作品になっています。

それを一切マイルドにせず映画化したのは、三池崇史の良いところでもあり、悪いところでもあります。だからこそ、第二章が早く観たくて堪らない。冒頭を観ると、広瀬の部屋に狂った漫画家・岸辺露伴の作品があることから、次は…と思ったり、やはり広瀬と山岸の監禁サバイバル生活はあるのかと気になったり、そして吉良吉影との決闘が観たくて堪りません。

三池崇史監督!次回作も期待してるッス!

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