【アフリカ映画研究】「母たちの村」意外とバレるかバレないかサスペンスの傑作だった件

母たちの村(2005)
Moolaadé(2005)

監督:センベーヌ・ウスマン
出演:ファトゥマタ・クリバリetc

評価:75点

アフリカ映画研究ってことで、セネガル映画の巨匠センベーヌ・ウスマンの遺作「母たちの村」を観てみた。アフリカ映画ってなかなかTSUTAYAでもみかけることが少ないのだが、本作はその中でも入手しやすい作品です。果たして…

「母たちの村」あらすじ

とあるアフリカの村には「女子割礼」という儀式がある。身を清めるために、女性器を切断する。そんな村から6人の子どもが「Moolaadé(保護)」を求め別の村に逃げてきた。村の住人コレ・アルドは家の門に縄をかけ、子どもたちを保護するが…

サスペンスとして一級品

セネガル汚職ものの大傑作「XALA」のセンベーヌ・ウスマンの遺作だが、これまた凄い作品でありました。アフリカに根強く残る宗教的文化女子割礼。宗教的文化故に、現代モラルに合わせてそう簡単に風習を消し去ることなどできない。大人たちは、いままで辛い女子割礼を受けてきた。男尊女卑な社会である上、大人の女性の中にも「私たちもつらい経験したのだから、子どもたちが女子割礼を拒絶するなど許さない」という人もいる。そんな環境の中で、いかに女子割礼から逃れるかをハラハラドキドキさせられる演出で、観客の心を鷲掴みにする。

何といっても面白いのが、冒頭子どもたちが村に逃げてくるシーン。夫に見つかったらマズイ状況だが、運悪く夫が妻の前に現れる。絶体絶命のピンチなのだが、妻たち(一夫多妻制なので何人か妻がいる)は、子どもを上手く背中に隠しその場をしのぐ。この「バレるかバレないか」描写が非常に面白い、上手い!

また、表面上は平和なんだけれども、うっかりすると噂が広がり生きにくくなってしまうムラ社会の息苦しさ、男性社会ならではの女性の息苦しさが画面からビンビンと伝わってきます。アフリカ映画って、全般的に風景や衣装は美しいのだが、その裏に宗教や文化による閉塞感を隠すのに長けているなと感じました。アフリカ映画はなかなか入手困難、視聴困難ですが、魅力あふれる領域だなと感じたブンブンでした。

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