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深田晃司監督「淵に立つ」の原点「歓待1.1」が怖すぎた件

公開日: : 最終更新日:2017/07/12 2017映画, 映画 , , , , , , ,

深田晃司監督「淵に立つ」の原点「歓待1.1」が怖すぎた件

歓待1.1(2010)


監督:深田晃司
出演:山内健司、
杉野希妃、古舘寛治、
ブライアリー・ロングetc

評価:95点

先日、日本映画専門チャンネルで、
深田晃司監督作「歓待1.1」が
放送されていた。

昨年絶賛した「淵に立つ」の
原点に当たる作品の
ディレクターズカットとの
ことで観てみたのだが、
これがとんでもない
映画だった。

「歓待1.1」あらすじ

印刷工場を営む家族の前に現れた
謎の男。夫の知り合いと名乗る
彼とすぐに親しくなり、
従業員として雇うのだが…

恐るべき乗っ取り

昨年話題になった深田晃司監督の
「淵に立つ」。その原点ということで観た。
元ネタ故、話は似ているだろう、
雰囲気も似ているだろうと
油断していたのだが、
これがまた違った怪作だった。

確かにプロットは同じ。
家に男が入ってきて、
家庭が壊されていくという点で。

しかし、侵入者のいやらしさは
明らかに「歓待」の方が上手だ。
普通だったら、いくら知り合いでも
いきなりやってきた男を自分の
職場で働かせたり、
その男と素性の知れぬ妻を
家に泊めたりはしないだろう。

しかし、その男は巧みに「良心」
という心の隙間を突いていき、
90分かけて家を乗っ取っていく。
一つ一つの衝撃的展開が、
気づいた時には「あっ!」と
取り返しがつかなくなっている
恐怖が素晴らしかった。

「淵に立つ」の「その男」にあたる
浅野忠信演じるキャラクターは、
どこか特別な存在。
確かに、服を脱ぐシーンで
「悪魔性」を魅せているものの、
終始「悪魔」のよう、
特別な存在に描かれていた。

しかし、「歓待」で古舘寛治演じる
「その男」は本性だす時以外、
人間味を帯びているだけに余計タチが悪かった。
どこにでもいそうなテキトーな奴。
頭も対して良くなさそうな男が、
狡猾に、しかも厄介なのが、
「この家族をめちゃめちゃにするぞ!」
という思いなくして破壊していく
様は本当に怖かった。
(「淵に立つ」では古舘寛治が
ヤられる側を演じているのが興味深い)

そして、両作とも機械が絶妙な
ハーモニーを生んでいる。
本作だと、印刷機。
「淵に立つ」だと旋盤。
コントロールできる存在が
コントロールできない存在により
不協和音が生じる様を見事に象徴させていた。

これは「家族の肖像」の絵と
居候家族との対比に近い上手い使い方だ。
ともかくオランダの厭なサスペンスである
ボーグマン」を観ているような
居心地の悪さを堪能できる傑作と言えよう。

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