【ネタバレ】「オクジャ(OKJA)」カンヌを騒然とさせた韓国映画は、ちびまる子ちゃんMEETS○○だった件

オクジャ(2017)
OKJA(2017)

監督:ポン・ジュノ
出演:アン・ソヒョン、ティルダ・スウィントン、
ポール・ダノetc

評価:40点

6/28(水)から、全世界で配信されているNetflixオリジナル映画「オクジャ」。「グエムル 漢江の怪物」で世界的に成功を収めたポン・ジュノ監督が再び、モンスター映画に挑戦した!そして、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出されるものの、劇場公開しないことでNetflix側と映画祭関係者で論争を呼んだ作品でもある。審査員長のペドロ・アルモドバル監督は、審査対象外にすべきだと徹底的にNetflixの姿勢を批判したものの、最終的には「参った」と謝罪に至った程評判の高い作品だが、果たして…

今回は、「オクジャ」の存在がネタバレ禁止になっている。しかし、「オクジャ」の存在について言及しないとお話しにならない作品なので、未見の人は、そのままこの画面を閉じてください。ネタバレ全開記事になるので。

「オクジャ」あらすじ

幼少期から、謎の生物「オクジャ」と仲良く暮らしてきたミジャ。しかし、ある日多国籍企業のミランド社に「オクジャ」を誘拐されてしまう。家族から「オクジャ」の秘密を聞かされたミジャは怒って、ソウルに「オクジャ」を助けに向かうのだが…

風刺ファンタジー

本作も「グエムル 漢江の怪物」同様、モンスターを使って社会風刺をするタイプの作品であった。謎の生物「オクジャ」を巡る争奪戦から見えてくるのは、多国籍企業によるグルーバル目線の搾取する側とされる側である。「オクジャ」は食糧難における新しい食品として作り出された豚型生物である。その実験や世話のコストを抑えるため、またキャンペーンで世界に宣伝するために、貧しい農家にその新型豚を送りつけて育てさせるのである。ある程度育ったら、企業が回収し専門的な実験を施したり、キャンペーンの道具として使う。

業務を行う上で、汚い部分は決して表に出さない。面倒なことは貧しい地域の人に外注してやらせる。という構図が見えてくる。
それが顕著に表れるのは、オクジャがソウルで暴れるシーン。ミランド社は、アジアでの評判が落ちることを恐れて、必死に新しい広告戦略を練って丸く収めようとするシーンがある。この滑稽さに、現代の社会の闇が痛烈に描かれている。

そして、さらに物語にスパイスを利かせる為に、ユニークなエコテロリストを登場させる。表向きは「非暴力」「俺ちゃん優しいよ!」とアピールをしているのだが、実際は過激を極めているところは、シーシェパードなんかを彷彿させる。

ポン・ジュノ監督は「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」もそうだが、ファンタジーの中に社会問題に対する皮肉を入れるのが本当に上手いと思う。今回、ブラッド・ピットの映画製作会社プランBが参画しているだけあってか、「オクジャ」のリアリティが凄まじく、皮肉に説得力があった。まさに現実世界に「オクジャ」がいるのではと思うほど、食事から家族に甘える様子まで繊細に表現されていた。東京国際映画祭プロデューサーの矢田部さんが「本作はスクリーンで観た方が良い映画」と称していたのも納得である。

これは、ちびまる子ちゃんMEETSいのちの食べ方

本作を観て思ったのは、主役のミジャ役を務めたアン・ソヒョンがちびまる子ちゃんにそっくりなところ。特にふくれっ面をするところがちびまる子ちゃんに似ている。そんな彼女が、トム・クルーズ張りのアクションを魅せるので、こりゃ驚いた。そして、終盤になると食品工場や実験室に潜入するのだが、その様子がまるで「いのちの食べ方」なのだ。そう、これはちびまる子ちゃんが社会科見学で食べ物が生まれる瞬間を見てしまう映画。まさに「ちびまる子ちゃんMEETSいのちの食べ方」だったのだ!

不満点もある…

結構話としては面白かったのだが、正直世界の批評家が熱狂する程にまでは評価できなかった。というのも、今回は児童小説張りのファンタジーになっており、正直皮肉が甘口に終わってしまったからだ。豚型生物は食糧危機を救う代物として登場した。「オクジャ」も未来の人々を救う代物の一つ。それを、あんだけ壮大な冒険の末に、金であっさり引き渡してしまうミランド社にええええーーーーっとなりました。あまりにあっさりとした解決方法に、「今までの冒険なんだったのだろう?」と疑問に思ってしまう程でした。

それなりには面白いが、「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」には及ばない、カンヌ国際映画祭で無冠に終わったのは妥当な作品と言えよう。

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