#43【教職レポート】英語のライティング能力を伸ばすには

教職レポート公開

教育実習終わった後にも、事後演習っていうものがある。ブンブンは情報科の教員免許取得の為に頑張っていたのだが、何故か英語教育に関するグループ発表をする羽目になりました。その結果をレポートにまとめる課題が出題され、この度ハードディスクから出土したので転載します。大学のレポートの書き方が分からない方も是非参考にしてみてください。
尚、一部人名は伏せてます。

テーマ:「英語のライティング能力を伸ばすには」

 今回、Aさん、Bさん、チェ・ブンブンで「英語のライティング能力をのばすには」というテーマで研究を行った。発端は、教育実践演習の授業において、音楽やyoutube等の動画素材、新聞記事等様々な媒体を使用した教育法を伺う中で、ライティングに関する教材が紹介されていなかったことにある。実際、教育現場で英語授業を見学するとライティング強化に関する教育を確認することができなかった。ならば、現在日本の英語教育現場では、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング4技能の中でライティング能力を伸ばせていないのではないだろうか。仮にライティング能力が伸ばされていないのだとすれば、当然、教材や教育方法を提案及び改善していく必要がある。今回私たちは中学英語に注目した。そして現状の問題を調査した上で、中学生の英語ライティング能力を向上させる教材、及び教育方法を提示していく。

 まず、日本の中学生の英語能力の実情を知るべく文部科学省「平成27年度 英語力調査結果(中学3年生)の速報」を参照した。この調査では、全国の中学生6万人を対象に英語能力テストを行い統計化したものである。この調査の結果、他の3技能に比べ、ライティングのみ明らかな差異が生じた。ライティングパートでは0点の比率が圧倒的に多いことである。リーディングやリスニングテストの場合、完全解答な問題が大半を占め、生徒が真面目に取り組んだ場合でも0点を取る可能性はある。しかしながら、ライティングテストの場合は、減点方式であるにせよ、回答欄に答えを書き込むことで点数を取得することが可能である。つまりこの統計の場合、「無回答」を取る生徒が圧倒的に多いことが分かる。

 また、日本経済新聞の記事「日本の高3、英語力は中卒程度『書く・話す』苦手 文科省が初調査」によると、高校3年生で同様のテストを行った場合でも他技能に比べ圧倒的にライティングの点数は低く、100点満点換算で19点と中学校レベルに留まっている現状がある。平成20年7月中学校学習指導要領解説 外国語編によると、日常的に簡単な英語で自分の考えを書くことを目標にしているが、ほど遠い結果となった。文科省の目標と生徒の実力に乖離が生じていることが問題である。今回、当グループでは、生徒にも身近な存在となっているSNSで情報発信(20~30語)できる程度の英語ライティング能力を中学3年生の時点で身につける為にはどのようなことを実践したら良いのかを議論した。

 Aさんは、アメリカで実際に使われているテキストを提示した。このテキストには、そもそもライティングに必要なステップや、思考を整理する手段等が書かれており、段階的に英語ライティングを身につけていく手段が提示されていた。
 Bさんは、実際に日本の英語教育現場で行われた授業を提示。これもはやり、作文の概念から授業を始め、何度か生徒同士のディスカッションによる添削を挟む段階を踏んで、英語ライティング能力を向上させていった。
 私は2人の提案を受け、そもそも「作文」の概念を他教科含めて教育されていないのではと推測した。日本のテストや入試問題の多くが、穴埋めや記号問題である。暗記と詰め込み重視で、自分の得た知識を統合化して読み手を説得させる訓練がされていないのではないだろうか。フランスでは、大学入試にあたるバカロレアと呼ばれるものが実施される。教科のほとんどが記述式であり、例えば「お金と愛どちらが大切だと思いますか」という内容で4時間にも渡って論文を創り上げる必要がある。また、フランス留学した際に語学テストで、○×問題が出題された。×を選択した場合、フランスでは理由を記述しなくてはならない。このように考えると、日本語ですら論理的な作文の実践を踏まない生徒に英語で作文をさせることは非常にハードルが高いことが分かる。故に2人が提案した作文の方法を教えるプロセスは必要不可欠である。
 
 また日本語の作文であれ、英語の作文であるにせよ、書くことが苦手な生徒に対しフォローしていくことも必要である。例えば、英語ライティングの課題を与え、授業中に解答させた場合、1クラスに数名はペンが全く動かない生徒が出てくる。そのような生徒に対しては個人的アプローチで、生徒から話すネタを引き出す必要がある。
 
 詰まるところ、英語ライティング能力を向上させる根底には「作文」のメソッドをいかにして生徒に定着させるかが重要となってくるといえよう。

参考資料

・Time for Kids Ready, Set Write!(Time for Kids Writer’s Handbook),
2006/05/23,Editors of TIME For Kids Magazine, Time Home Entertainment, Inc
文部科学省「平成27年度 英語力調査結果(中学3年生)の速報」

 (2015/05/01)、文部科学省、
 (2017/01/04最終閲覧)
日本経済新聞「日本の高3、英語力は中卒程度『書く・話す』苦手文科省が初調査」

(2015/03/17付け)、日本経済新聞発行、
(2017/01/04最終閲覧)

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