「トゥー・ラバーズ」ホアキン・フェニックスがドストエフスキー感を醸し出す…

トゥー・ラバーズ(2008)
TWO LOVERS(2008)

監督:ジェームズ・グレイ
出演:ホアキン・フェニックス、
グウィネス・パルトロー、
ヴィネッサ・ショウetc

評価:80点

ジェームズ・グレイの新作「ザ・ロスト・シティ・オブ・ゼット(THE LOST CITY OF Z)」がカイエ・ドゥ・シネマでメチャクチャ評価されている。本作はあの「インディー・ジョーンズ」のモデルとなったパーシー・フォーセットの冒険に迫ったノンフィクション小説「ロスト・シティZ 探検史上、最大の謎を追え」の映画化。予告編を観ると、「地獄の黙示録」や「アギーレ」を彷彿とさせる狂気が楽しめそうな作品です(実際にアマゾンロケを敢行。配給もAmazonという懲りっぷりw)。日本配給が決まっているらしいので、本作は今冬or来年公開されるかもしれません。

折角なので、ジェームズ・グレイの旧作をNetflixで探したら、「トゥー・ラバーズ」があったので観てみました。

「トゥー・ラバーズ」あらすじ

ドストエフスキーの「白夜」の映画化。
婚約者に去られ、自殺未遂ばっかり繰り返している男レナードは、親のクリーニング屋で半分ニートのような生活を送っている。そんなある日、家族にサンドラという女性を紹介される。彼女はレナードの過去を受け入れ、彼のことを愛するようになるが、レナードは隣人ミシェルに惹かれていった…

ドストエフスキー感溢れる「モテキ」

本作は「モテキ」そのものだ。女に対して抵抗ある男が、同時に複数の女性に愛され困惑するという内容は「モテキ」を彷彿とさせられる。しかしながら、この「トゥー・ラバーズ」の原作はドストエフスキーの「白夜」。鬱過ぎます。まず、ホアキン・フェニックス扮するレナードの、女々しい感じがドストエフスキー感を体現していると言えよう。

そしてそれ故に、「モテキ」以上にスリリングな恋愛が描写されており、観客の心を鷲掴みにする。女性に抵抗があるのに、二人の女の間でもがく羽目になったレナード。紙一重で二重生活をするスリリング。そして、本当に愛している女性ミシェルには金持ちで真摯な男がついている。ミシェルはその男のことが嫌いで、レナードにその男を引きはがして欲しいと懇願する。レナードは高級レストランにミシェルを呼ぶが、ミシェルはその男を連れてくる。「勝てない!」と思い気持ちが落ち込む。「若きウェルテルの悩み」もそうだったが、一度勝てないと思うとドンドン沼に嵌まっていくもの。この二重恋愛の息苦しさが切なく、哀しく泣けてき。

意外にも本作は日本で劇場公開されていない。しかしながら、そこには男なら誰しも感じる女との葛藤。等身大の恋愛の戦慄が繊細に描かれていた。これは必見ラブストーリーと言えよう。

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