【解説/ネタバレなし】「LOGAN ローガン」は西部劇だ!マカロニウエスタンではない!

LOGAN ローガン(2017)

監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ヒュー・ジャックマン、
パトリック・スチュワート、
ダフネ・キーンetc

評価:75点

近年、傑作&エポックメイキングな作品多いマーベル映画として、目の上のたんこぶ的存在の「X-MEN」シリーズ。可もなく不可もない微妙な作品が多く、今回の「ローガン」も、Rotten Tomatoesの批評家支持率93%を獲得しているものの、正直期待はしていなかった。しかし、これがなかなか面白い。というよりも、なんとかシンガー版とは180度作風が違いましたのでその話をします。

「LOGAN ローガン」あらすじ

X-MENシリーズ「Old Man Logan」の映画化。ミュータントが絶滅しかけた世界。残されたミュータント・ウルヴァリンことローガンは平穏な暮らしを求めて陰日向で息を潜めていた。そんなある日、プロフェッサーXのもとへ行くと謎のミュータント少女がおり、壮絶な戦いへと巻き込まれてしまう…

これはただのスーパーヒーロー映画ではない!

本作は、「アベンジャーズ」や「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」といった一連のアメコミ映画とは全く違う作りになっています。なんといっても、映画の中で「コスプレして世界が守れるのか?」と従来のアメコミ映画に対して煽っています。しかも、本作は噂以上に西部劇なのです。

予告編を観る限り激しいアクションでとにかく人を殺しまくるマカロニウエスタンを彷彿させられるが、実際に観て観ると「勇気ある追跡」「決断の3時10分」のようなザ・アメリカの西部劇なのです。決定的証拠として、劇中で何度も西部劇の傑作「シェーン」の名シーンを引用しており、「本作は人情溢れる西部劇だぜ!」と言わんばかりの演出になっています。

しかし、ただ異端な西部劇を作っただけではそこまで批評家を熱くさせることはできません。本作は以前紹介した「ミッドナイト・スペシャル

」に近い、クラシック且つユニークな作品だからこそ評価されたと言えよう。

かつて、社会から異端な存在として名を馳せていた、時に人を殺していたミュータントは今や絶滅の危機。あれだけ強かったウルヴァリンも、カリスマ性あったプロフェッサーXも老衰している。波乱な社会から足を洗い、おとなしく暮らしたいだけ。安らぎの地を求め逃げるのだが、敵は訪れる。滞在先の住民を助けざる得ない状況に追い込まれる。

アメリカという国は、ヨーロッパから宗教に対する圧力から逃げるようにして来た者達が作った。言わばアメリカは異端児たちの楽園だった。しかし、現代アメリカは、移民大国にも関わらず、ドナルド・トランプ大統領の手により移民廃絶運動が過激化している。そして異端児たちは差別に苦しんでいる。「LOGAN ローガン」を観ると、異端児が社会的地位を獲得してきた「時代」と再び社会地位が剥奪された「時代」を見事に結びつけています。そして、映倫がよくR15に留めたなーと思うほど、痛く痛く痛い血なまぐさい暴力に、現代の「差別と暴力」による闇を象徴させたと言えます。なので、ヒーロー映画としては珍しい、常にHPが1で地を這うようにして戦うウルヴァリンことローガンは、差別に耐えながら日々を生き抜く人々の魂の叫びに見えました。

X-MENシリーズ観ていなくても大丈夫です!

職場で、同僚から「X-MENシリーズ観ていないけれど大丈夫?」と聞かれたが、全く問題ありません。というのも、X-MENシリーズ自体、作品毎の時系列がカオスになっており、観ていようが観ていまいがあまり関係ありません。むしろ、X-MENシリーズを一本も観ていない方こそ「LOGAN ローガン」は観て欲しい。段々明かされていく、ミュータントの正体がまるでミステリーのように繋がる極上のミステリーとして楽しめます。

ただし、デートで観に行くのは一旦思いとどまった方がいいです。というのも、R18級の痛すぎる暴力描写の連続なので、人によってはドン引きする可能性があります。

余談:「スプリット」の子とは違うぞ!

ブンブン、ずっと「ローガン」に出てくる強すぎる少女が「スプリット」のヒロインと同一人物だと思っていたのだが、調べたら違いましたw
スプリット

」の子はアニヤ・テイラー=ジョイで米フロリダ・マイアミ出身。アルゼンチンとイギリスで育ちの新人女優。オバマ大統領の若かれし頃を描いた「バリー(Netflixにて配信中)」にも出演しています。「LOGAN ローガン」のヒロインを演じた子はダフネ・キーン・フェルナンデスでイギリスとスペインの二重国籍を持っているとのこと。本作で映画初デビューなので、今後の活躍に期待!

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