【速報】第70回カンヌ国際映画祭受賞結果 パルムドールは「THE SQUARE(広場)」スウェーデンのゲテモノ映画

第70回カンヌ国際映画祭受賞結果

パルム・ドール:THE SQUARE
(リューベン・オストルンド)

すげー!
意地悪な作風が特徴的で、東京国際映画祭にも何度か招待。「フレンチアルプスで起きたこと

」が日本公開されているリューベン・オストルンド監督作がパルムドールを受賞しました!!!
今回は142分という長尺で、現代美術館のキュレーターの奮闘劇を描いているとのことです。近年、「わたしは、ダニエル・ブレイク

」や「ディーパンの闘い

」と真面目な移民系映画、貧困映画が受賞しておりつまんなかっただけにゲテモノ映画が獲るとは本当に嬉しいぞ!

グランプリ:120 Beats Per Minute
(ロバン・カンピヨ)

1990年代フランスで、AIDS問題への無関心に対する過激な活動を描いた「BPM」が受賞しました。どうやらTwitterを見る限り、ファントム・フィルムが配給にこぎ着けたとか。予告編を観ると、かなり面白そうな作品です。実はこの映画の監督であるロバン・カンピヨはパルムドール受賞作「パリ20区、僕たちのクラス」の脚本家でもあります。

監督賞:ソフィアコッポラ
(THE BEGUILED)

ドン・シーゲル監督×クリント・イーストウッドの「白い肌の異常な夜」のリメイクをソフィア・コッポラがリメイクしたもの。オリジナリティを求めるカンヌ国際映画祭において、リメイクは注目されにくいが、批評家の評判も良好。そして受賞にいたりました。

脚本賞1:
THE KILLING OF A SACRED DEER(ヨルゴス・ランティモス)

批評家評はすこぶる悪かったが、受賞。今年はアルモドバルが審査員賞な為か、ゲテモノ映画が次々と受賞していて面白い。去年における「ELLE

」や「ネオン・デーモン

」みたいな作品が賞を獲りまくっている状態です。

カリスマ的外科医と十代の男の子による心理スリラー。矢田部さん曰く、何も語れないネタバレ地雷原な作品だとのこと。

脚本賞2:
YOU WERE NEVER REALLY HERE
(リン・ラムジー)

「少年は残酷な弓を射る」のリン・ラムジー監督作。噂によると、リン・ラムジー版「96時間」とのこと。ホアキン・フェニックスが十代の少女を守るためハンマー片手に無双する映画だそうです。出品はギリギリだったようで、エンドロールはなし、しかも映画関係者が帰りまくっている最終日に上映された不遇にも関わらず男優賞含めて2冠。

男優賞:ホアキン・フェニックス
(YOU WERE NEVER REALLY HERE)

「ザ・マスター」でヴェネチア国際映画祭男優賞を受賞、そして今作でカンヌを制した!あとはベルリンを制すのみ!頑張れホアキン!

女優賞:ダイアン・クルーガー
(IN THE FADE)

ファティ・アキン新作。批評家や東京国際映画祭作品選定プロデューサーの矢田部さん曰く、残念な作品だったようだが、無事に受賞。爆弾攻撃により夫と息子を失った妻の復讐劇。近年、ヨーロッパ先進国で多発するテロに対する問題提起をした映画。例年のカンヌらしい選出と言える。

審査員賞:LOVELESS
(アンドレイ・ズビャギンツェフ)

アンドレイ・ズビャギンツェフ監督作。批評家評が抜群に良かった。「エレナの惑い」「裁かれるは善人のみ

」とカンヌとの相性も抜群なズビャギンツェフ監督作は惜しくもパルムドール奪取には至りませんでした。離婚している夫婦が12歳の息子の失踪により再び一緒になるという話。

エキュメニカル審査員賞:光(河瀬直美)

エキュメニカル賞とはキリスト教徒の映画関係者による賞。日本人にはわかりにくいが、民族性をアピールする賞だ。今年は、河瀬直美の「光」が受賞。批評家による採点では、カイエ・ドゥ・シネマやStudio、テレラマなどが酷評していた気もするが無事受賞しました。「映画の音声ガイド」制作者にフォーカスを入れる斬新さと、視力を失いゆくカメラマンの心情を濃密に描いたことが評価されたと思われる。

カンヌ・サウンドトラック賞:
ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー
(GOOD TIME)

「神様なんかくそくらえ」のサフディ兄弟監督作「GOOD TIME」の
サントラが受賞。

国際批評家連盟賞:

コンペティション部門:120 Beats Per Minute
ある視点部門:Closeness
国際批評家週間:The Nothing Factory

第70回記念特別賞:
ニコール・キッドマン

ランティモス「THE KILLING OF A SACRED DEER」
コッポラ「THE BEGUILED」の功績

カメラドール:
MONTPARNASSE BIENVENUE

監督:Léonor SERRAILLE

感想

今年は、審査員長の癖が全面に出まくった凄い回でした。というのも、ラインナップを観ると、どれも激しく、言うならば「ゲテモノ」と呼ばれる作品が勢揃いしています。丁度去年における「ELLE」や「ネオン・デーモン」が受賞する感じ。しかも、移民/シリアス系が獲ると言われているパルムドールが完全にゲテモノ!確かにカンヌとの相性の良いオストルンド監督作とは言え、まさかの展開に監督だけではなく全世界のシネフィルが驚愕したことでしょう。

なお、映画祭開催時から論争を呼んでいたネットフリックス作品「OKJA」と「THE MEYEROWITZ STORIES」は無冠に終わりました。前者に関しては批評家評判も良く、ネットフリックス反対派のアルモドバルが実際に観て謝罪をしたことから賞に絡むと思われていたのだが、残念ながら受賞に至りませんでした。

尚、河瀬直美監督作「光」はサブ部門のエキュメニカル審査員賞のみの受賞だけでした。今年は、コンペ作に圧倒的支持率の作品が少なく、レベルが低いと一部のメディアから叩かれていたが、なかなか面白い回だったと思います。

→NEXT:ある視点部門

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