【ユーロスペース1週間限定上映】「SHARING」が究極トラウマ映画だった件

SHARING ロングver.(2014)

監督:篠崎誠
出演:山田キヌヲ、樋井明日香、
木村知貴、河村竜也etc

評価:90点

ここ数年、話題になっている作品がある。それが「東京島」の篠崎誠が3.11をテーマに作ったホラー映画「SHARING」である。ライムスター宇多丸や水道橋博士を始め、様々な著名人が絶賛、口コミでカルト人気化し、昨年のベストテンに入れる人も続出した作品である。ブンブン不勉強ながら観逃しており、非常に後悔していたところ、ユーロスペースで1週間レイトショー上映されるとの事で初日観てきたぞ!上映前に舞台挨拶があり、監督や役者陣の相当な意気込みを伺い、いざ魔空間へ誘われてみた…

「SHARING」あらすじ

東日本大震災以後、日本各地で震災前に正夢を見たと語る人が続出した。社会心理学者の瑛子は、歴史的大事件の後の人々の感情変化を研究している。東日本大震災以後の日本人の感情変化に取り憑かれた瑛子は悪夢に悩まされるようになる。
一方、その頃演劇サークルの薫は3.11を題材にした卒業公演を巡ってメンバー内で軋轢が生じ…

映画に殺されるかと思った

皆さんは、映画に殺されそうになったことはあるだろうか?

私は「SHARING」という作品に殺されかけた。

正直、本作を観る前、この「SHARING」を侮っていた。なぜならば予告編ではイマイチ傑作感が伝わってこないからだ。前情報で、黒沢清っぽいという意見を伺っていたため、黒沢清の二番煎じかと思うところもあった。

しかし、これがトンデモなく傑作且つトラウマ映画であった。世界的事件があると、必ず「数日前に事件を予感させる夢を見た」と語る人が現れる。本作は東日本大震災におけるその現象をホラーとして描いている。
別に劇中人が死んだり、直接何かが襲いかかる訳ではない。ホラーとしての驚かせ方も、不意打ちと何もしないの2手しかない。しかし、監督の超絶技巧なシチュエーションの反復と怖い長回しが、背筋に冷たいナイフとなって突き刺してきてゾクゾクとする。何も怖くないはずなのに、あまりの怖さに逃げ出したくなった。特に監督が、立教大学現代心理学部映像身体学科の教授だからなのか、反復の使い方が上手い。観客に2時間という時間の中で、トラウマを抱かせる作用として反復を使い、擬似的にデジャブを生み出しているのだ。前のシーンであった怖いシーンと似たシチュエーションが訪れると…あああああーーーー!となる。しかも、厭なアングルに切り替えて反復するもんだかたたまったもんじゃないw(褒め言葉です)

こんな怖い映画、高校時代に観た「ブラック・スワン」以来かもしれない。

仄暗い「君の名は。」

昨年公開され話題となった「君の名は。

」が3.11を思わせる大惨劇を美しい恋愛のエッセンスとして使用していたが、こちらは徹底的に悪夢だ。歪みに歪みきった悪夢が過ぎ去った時、あなたの見る世界は変わっているだろう。とにかく凄い!観て正解でした。

ユーロスペースで2017/5/5(金)まで上映

ブロトピ:映画ブログ更新

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です