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【ネタバレなし】「3月のライオン 後編」はやっぱり「男はつらいよ 諏訪博編」だった件

【ネタバレなし】「3月のライオン 後編」はやっぱり「男はつらいよ 諏訪博編」だった件

3月のライオン 後編(2017)
March goes out like a lamb(2017)


監督:大友啓史
出演:前田吟、神木隆之介、有村架純、
倉科カナ、染谷将太、
清原果耶、佐々木蔵之介、
加瀬亮、伊藤英明、豊川悦司etc

評価:85点

さて、不安な案件「3月のライオン 後編」が公開されました。最近東宝映画で流行の前後編スタイルの映画は、「ちはやふる」のような傑作こそあれど、基本的に後編で大失速するケースが多い。ましてやこの「3月のライオン」はそもそも映画化不可能案件(詳しくは「3月のライオン 前編」評を読んでください)な為、「果たして後編大丈夫?予告編だと『愛』がどうたらとか語っているけど前編はもちろん原作でもそんな描写はなかった気がするぞ(汗」と不安でしょうがなかった。そんな危険な案件「3月のライオン 後編」を観てきた。えっつ上映時間2時間20分だと!!!
(※【ネタバレ/解説/考察】「3月のライオン 後編」後藤戦の脚本が凄まじかった件)

「3月のライオン 後編」あらすじ

※WARNING:アンサイクロペディア並に乱れております
「男はつらいよ 三日月の諏訪博」の続編。「男はつらいよ 三日月の福福達磨」。
諏訪博は感慨に耽っていた。とらや(くるまや)時代の争乱を思い浮かべ、三姉妹を眺めている。そんな諏訪博の前に2つの事件が発生する。一つ目は次女・川本ひなたが学校でイジメに遭っていたことが発覚。そしてもう一つは、三姉妹のもとに招かれざる客がやってきたことだった。寅さんで鍛え上げられた問題解決能力を活かし、諏訪博は2つの壁に立ち向かう…

一方、その頃若きプロ棋士・桐山零はKING OF SHOGI宗谷冬司を倒すべく、Super Shogi Computer NIKAIDO 3.1を操る病弱な将棋坊ちゃんやKING OF SHOGIに敗れた男・島田に応援されながら、大事な試合YAKUZA・GOTO戦に向け修行をしていた…

「男はつらいよ」ファン必見の作品

本作は、前編以上に「男はつらいよ」でした。そして「男はつらいよ」ファンとして、涙なくしては観ることのできない作品でもありました。というのも、前編評で話した通り、本作には前田吟が和菓子屋・三日月堂の店長として出てくる。前田吟は「男はつらいよ」で、団子屋兼食事処・とらや(くるまや)の隣の朝日印刷で働いていた男です。そんな彼が朝日印刷を引退し、老後どのような軌跡を歩んでいるのかが本作で分かる。しかも、大友監督は、革新的であろう、脚本に「男はつらいよ」48(+1)作の重みを乗せている。家族構成こそ違うが、両親なき川本三姉妹が「お母さんはどんな人だったの?」と訊くと、諏訪博こと三日月堂の店主は思い出に耽ながら、「ん~和菓子を沢山つくっておったよ」と語る。その姿は、とらやで働く、おばちゃんやさくらを匂わせる重厚さを持っている。そんな諏訪博が、寅さんに鍛えられたトラブルシューティング能力を活かして今回2つの大きな問題を解決しようとするところが最大の見所といっても過言ではない。本当に「男はつらいよ」ファンはハンケチ必須の作品でした。

前編の欠点は伏線だった!

本作は漫画原作もの、非SFものの中でもトップクラスに映像化が難しい作品。なんたって、原作では映画に不向きな、「試合中の心の呟き」描写があまりに多い。そしてミニエピソードを並べているスタイルなので、物語が単調でドラマチックさに欠けている。前編は確かに、健闘しており、「聖の青春」よりかは面白くできている。ミニエピソードの取捨選択も上手い。ただし、どうしても「試合中の心の呟き」は入れる必要があり、映画好きには「えっつ」と思う箇所もあった。

しかしながら、後編ではこの欠点を上手く活用することで大躍進を遂げている。というのも、「試合中の心の呟き」を主人公・桐山零の成長に結びつけているのです。前編では、あんなにギャーギャー試合中独白していた桐山零が、今回「沈黙」する試合がある。そう、目の前しか見られず、もがいていた彼が、試合の全体像を冷静沈着に見ることができている。「試合中の心の呟き」描写をカットすることでその成長を表すテクニック、大友監督の一手にブンブンは痺れました。

将棋がアクションしている

詳しい話は、ネタバレ解説で語りますが、後編も将棋盤がボクシングリングのように熱いバトルフィールドとなっていました。今回の2大対局、桐山零VS宗谷冬司、桐山零VS後藤正宗では、まるで「ザ・ファイター」を観ているかのような躍動感ある試合が繰り広げられていました。やはり、「聖の青春」と比べると盤面が生きています。

最後に…

今回は「ネタバレなし」な為、ざっくりとした触りの部分で感想を書きました。正直、観る人を選ぶ作品です。ある程度将棋を知っていたり、原作を読んでいるが映画と原作を別に考えられる人、そして前後編併せて4時間40分ぐらいある長尺に耐えられる人でないと本作は結構キツイ作品だと思う。だが、大友監督が桐山零とシンクロして、悩み悩み一手を指している。それだけにハラハラドキドキするのは確か。ブンブンは本作を気に入った。社会人1年目のブンブンの心に響くものがあった。今年のベストテンに入れたい一本、大傑作でした。

主題歌「春の歌」(藤原さくら)

(※【ネタバレ/解説/考察】「3月のライオン 後編」後藤戦の脚本が凄まじかった件)

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