【カイエ・ドゥ・シネマ週間】「ジャングルの掟」仏版Mr.ビーンは政治的!

ジャングルの掟(2016)
LA LOI DE LA JUNGLE(2016)

監督:Antonin Peretjatko
出演:Vincent Macaigne,
Vimala Pons,マチュー・アマルリックetc

評価:75点

アンスティチュフランセ東京では、カイエ・ドゥ・シネマ週間が始まっており、カイエ・ドゥ・シネマがオススメする映画が特集上映されている。カイエ・ドゥ・シネマがオススメする作品は、結構日本で劇場公開されることが少なく、アラン・ギロディ等なかなか普段お目に掛かることのできない作品が目白押し。今回2016年カイエ・ドゥ・シネマ ベストテンにおいて8位を獲得したフランスのコメディ「ジャングルの掟(LA LOI DE LA JUNGLE)」を観てきたぞ!近年、カイエ・ドゥ・シネマ誌は従来注目してきた監督よりも、新鋭監督をプッシュしようという動きがあり、2016年のベストテンでは、マーレン・アデやクレール・シモン、ニコラス・ウィンディング・レフンといった監督を推していた。今回のAntonin Peretjatkoは「7月14日の娘」等、一見通俗なフレンチコメディを手がける監督だが、実は深い内容を扱っているとのことで注目されている。それではいってみましょう!

「ジャングルの掟」あらすじ

フランスの公務員マークは、仏領ギアナに左遷させられる。仏領ギアナにスキー場を建設するための調査業務を与えられたマークは、破天荒な女性ターザンと共に業務を開始するのだが、現地人とフランス本国との板挟みに遭い…

仏版Mr.ビーン

日本において、フランス映画はお堅いアート映画のイメージが根強いが、実際はコメディ映画大国。アメリカンコメディ以上に不条理で政治的でシニカルな作品が多い。実際に年間興行収入で観ても、2014年には異人種結婚を扱った「最高の花嫁」が1位を取った。
さて、この「ジャングルの掟」だが、雰囲気は完全にMr.ビーンだ。間抜けな男が、挙動不審に動くコミカルさに笑える。しかし、本作の男はよく喋る。しかも、登場人物皆Mr.ビーンみたいなもんだから混沌に混沌を重ねる。

鋭い社会批判

一見通俗な大衆コメディに見えるかもしれないが、政治や社会を鋭く嘲笑う手口が誠に秀逸。

そもそも、ストーリーが、従来植民地を統率していたフランスの力が衰えている。今こそフランスの偉大さを知らしめようと仏領ギアナにスキー場を立てるところから始まるのです。

現地は到底スキー場なんて出来ないぐらい、現地人との文化差があるのに、
本国ではカタールや中国相手にPRしまくる。その様子は、日本企業の営業と開発、現場と本社の温度差にも通ずることがある。

カオスでしょうもないギャグの中に、
先進国の高慢、文化の不理解に対する強固な考察を挿入する点、日本の映画監督には出来ない技術力を感じました。

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