【カイエ・ドゥ・シネマ週間】「キング・オブ・エスケープ」アラン・ギロディによるゲイの新世界

キング・オブ・エスケープ(2010)
LE ROI DE L’EVASION(2010)

監督:アラン・ギロディ
出演:ルドヴィク・ベルティロ、
アフジア・エルズィetc

評価:80点

3/31からアンスティチュフランセでカイエ・ドゥ・シネマ週間が始まる。フランスで話題になった作品や監督の特集上映が毎年行われる。今回は鬼才アラン・ギロディ作品が特集で組まれている。ギロディ監督は日本ではほとんど知られておらず、劇場公開もDVDも作られていない。しかし、東京国際映画祭の作品選定ディレクターこと矢田部吉彦が注目している監督だ。内容が激しく性的描写を含むため、東京国際映画祭でもなかなか上映することが難しいアラン・ギロディ作品(実際に「湖の見知らぬ男」はコンペ入りしなかった)が一気に観られるとのことでブンブンのテンションが上がっています。

そんな最中、押し入れからなんとアラン・ギロディ監督の「キング・オブ・エスケープ」が出土しました。実はブンブンが高校1年生の時に知人からDVDを貰ったのだが、字幕なしフランス語音声だったため観ずに放置プレイしていたのだ。大学でフランス語をみっちりと学んだので、ノン字幕で挑んでみました!

※アンスティチュフランセ東京で4/1 12:00に上映

「キング・オブ・エスケープ」あらすじ

ゲイのデブ男アルマンは、ある日不良に絡まれている少女を助ける。少女はアルマンのことを気に入ってしまい求愛するようになる。ゲイを返上して少女と関係を結ぶのだが、それを目撃した少女のオトンやゲイ仲間から追われ、二人は森へ逃げていくのだった…

斬新なゲイドラマ

映画における同性愛者は、基本的に社会から差別的目で見られるマイノリティな存在として描かれる。しかし、本作はまさに逆転の発想。同性愛がマジョリティの世界で異性を愛してしまいマイノリティになる様子をコミカルに描いている。序盤間抜けでデブなおっさんが、不良から少女を救う。通常だったら不良にボコボコにされたり、主人公がボコボコにしたりして救うのだが、なんとも穏便に且つ情けない方法で少女を救う。そして、少女とラブラブになり逃走劇が始まるとシリアスになるのでは?と思っていると、なんとも緩ーく、でも肉欲全力全開グロテスクでぶっ飛んでいる「プレイ」という名のアクションが始まる。

だが、段々と哲学的な話になってくる。「同性愛者」が急に「異性」を愛することができるのか?「愛」と「快感」は両立できるのか?

LGBT映画は毎年何本か公開されているのだが、ここまでグロテスクかつ哲学的でコメディな映画は珍しい。アラン・ギロディ。日本でもせめてDVDは出して欲しいところだ…

面白い映画に出会いたい方は是非、アンスティチュフランセ東京へGO!

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