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「わたしは、ダニエル・ブレイク」ケン・ローチ二度目のパルムドール作だが…

「わたしは、ダニエル・ブレイク」ケン・ローチ二度目のパルムドール作だが…

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016)
I,Daniel Blake(2016)


監督:ケン・ローチ
出演:デイヴ・ジョーンズ,
ヘイリー・スクワイアーズetc

評価:65点

ジェームズ・ボンドのドキュメンタリーと思ってしまうタイトルだが違う。カンヌ国際映画祭で「麦の穂をゆらす風」以来二度目のパルムドールを獲ったケン・ローチ引退作だ。今回ヒューマントラストシネマ有楽町に行って観てきました。公開2週目にもかかわらず満席近くまで埋まってました。イギリスの労働者階級、どん底のどん底を描いてきたケン・ローチ監督の総てが詰まった作品だと囁かれるが果たして…

「わたしは、ダニエル・ブレイク」あらすじ

心臓病で仕事が出来なくなった大工のダニエル・ブレイクが国から支援して貰おうとするのだが、審査ではねられ、働こうにも今は総てインターネットの時代。PCを使えない。たらい回しにされまくる。そんな彼が同じく役所にたらい回しされているシングルマザーと心を通わせていく…

ストーリーは凡庸

正直、シーン割りは引退作としてはあまり芳しくない。冗長で、あと20分は削れると思う。えっつこれで100分なの?と思う程、体感時間が悪い意味で長い。後半になる程挿入されるエピソードは、リアリズム監督にしてはファンタジーになる。リアリズム映画でファンタジーを入れるなら1点に絞らないとと思う。やはり傑作「SWEET SIXTEEN」には及ばない。
似たようなイギリスの貧困を描いた「T2 トレインスポッティング」と比較しても、「わたしは、ダニエル・ブレイク」は微妙だ。「T2 トレインスポッティング」はドラッグ描写というファンタジー世界を構築しつつも、逆説的に貧困を緻密に描いているリアリズムに満ちた作品になっていただけに、これがパルムドール?と言わざる得ない。

情報科教員免許保有者から見える
「わたしは、ダニエル・ブレイク」

駄菓子菓子‼︎
本作における「情弱」描写は、教育実習で情報科を教えた私にとって唸らざるえない。とにかく芸が細かいのだ!PCを使えない者にとって、カーソルを動かして、空欄に文字を埋める作業は大変。しかも、PCは融通が利かない。しっかりドキュメントを読み、完璧に空欄を埋めないとエラーが起きる。ダニエルは一生懸命空欄を埋めるのだが、画面には僅かな記入漏れが見える。「ダニエル、待つんだ!クリックするな!」と念じる私の想い虚しく、彼は「次へ」をクリックしエラーがでる。今の時代、特にPCを使える人はなんでも「ググレカス」と言ってしまう。しかし、ググることさえ出来ない情弱がいかにネット社会を生きるのが辛いかが非常に良く描けていた。

ブンブンが教育実習行った際、高校生にPhotoshopを教えた。出来る生徒は、わからないことは「ググる」ことで解決している。しかし、PCが苦手な生徒は調べ方を知らなかったり、そもそも何がわからないのかがわからない者も多かった。「情報科」の難しいところは比較的容易に「わからないことがわからない」状態に陥りやすいところにある。この「わたしは、ダニエル・ブレイク」はそこにしっかり焦点を当てていたのだ!

作品としては65点くらいのものだが、一見の価値ある作品でした。

P.S.
本作を観ると「帰ってきたヒトラー」の彼が如何に凄いかがわかりますw

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