「僕たちは世界を変えることができない。」大学卒業間際だからこそ心にくる映画

僕たちは世界を変えることができない。
But, we wanna build a school in Cambodia.
(2011)

監督:深作健太
出演:向井理、
松坂桃李、柄本佑、
窪田正孝、村川絵梨etc

評価:90点

3日後には卒業式を
迎えるチェ・ブンブン。
卒業前に、青春映画でも
観たいなと
Netflixを開ける。

法政大学だけに
「横道世之介」でも観ようかと
思っていた矢先、
「僕たちは世界を変えることができない。
But, we wanna build a
school in Cambodia.」

目にとまった。

高校時代に公開されたのだが、
ボランティア精神がなく
尖っていた性格だった
ブンブンは観に行こうとは
思わなかった。

しかし、「何者

」同様
今のブンブンだったら
面白いかもしれない
と思い挑戦してみたぞ!

「僕たちは世界を変えることができない。」あらすじ

医大生の田中甲太は
イベントサークルで
自由奔放な生活をしていた。
しかし、ある日150万円で
カンボジアの恵まれない
子供達に学校を
建てることが
できることをしり、
仲間と共に奮闘するのだが…

青春の蹉跌を極限まで
リアルに描いた傑作!

深作欣二の息子である、
深作健太
が作っているとか、
今となっては大作映画に
出ずっぱりの向井理、
松坂桃李、柄本佑、
窪田正孝が一同にしている
とか表面上の驚き
以上に素晴らしかった。

まさに掘り出し物は
意外なところから出てくる
という感じ。

なんと言っても、
本作は誇張ではない
レベルまで
海外ボランティアに挑む
大学生像をリアルに
いやーに演出している。

そもそも、
よくボランティアの
うたい文句で
「150万円で学校を建てられます」
みたいなのがあるのだが、
そもそもそれは学校を
建てるだけの費用。
学校というのは教師と
生徒がいて、且つ保守・管理
してやっと成り立つもの。

大学という人生最大の夏休み。
大学2年生にもなると、
単位の取り方なんかもマスター
してあり余る力をどこかに
ぶつけたくなる。
それを安易に海外ボランティア
に発揮することで生じる
蹉跌というものを本作は
鋭利なナイフで観客に突きつけてくる。

主人公たちは、
最初こそイケイケドンドン上手くいく。
英語で、ボランティア団体に連絡
したり、イベントで金を稼いだり、
企業とのタイアップも成功したり
上り調子。
しかも、周りの指摘にも前向きで、
「カンボジア行ったことないの?」
と言われたもんなら
ソッコーでカンボジアに
行き現地の悲惨な状況を
見て「こりゃなんとかしないとな」
と思う。

ただ、これはスタートラインに
過ぎないことを彼らは知る。

「どうしてカンボジアなの?」
「日本にも恵まれない子どもはいるよ?」
「自己満足なんじゃない?」

そういった強烈な質問に
答えられなくなってくるのです。

そう彼らにとって、
海外ボランティアは
「遊び」「就活の武器」に過ぎず、
海外ボランティアをする
自分なりの哲学を創りあげて
いなかったのです。

これって、大学時代少しでも
大きな事をしようとしたこと
がある人はよくある話で
身につまされるようなもの。

大学生が「自由」という
ツールを使い、
「成功」という体験を掴む
ことで感じる「無敵感」。
それが一気にクズされて
感じる「無能感」という
絶望。そこから立ち上がって
ようやく社会人になる。

そのプロセスを本作は
緻密に描いていた。

R社会人です

ただ、本作を高校時代に
観ていたら、
なんだかんだケチをつけて
酷評していただろう。

とにかく観ていて、
主人公の痛々しい行動。
それがラストの主題歌まで
続いていくので、
自分=無敵と思っている段階で
観るにはあまりにもキツイ。

大学生の終わりに
大学生活を懐古する。
社会人になって青春の蹉跌を
思い出したいって時以外には
あまりオススメできない。
R-18いや、R社会人な
作品といえる。

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