【ネタバレなし】「彼らが本気で編むときは、」荻上直子異色作にして傑作!生田斗真が凄すぎる!

彼らが本気で編むときは、(2017)
Close-Knit(2017)

監督:荻上直子
出演:生田斗真、
桐谷健太、
柿原りんか、小池栄子、
門脇麦etc

評価:75点

かもめ食堂

」、「めがね」、
「レンタネコ」の
荻上直子最新作。

荻上直子映画常連の
小林聡美、もたいまさこ、
片桐はいりを封印し
描くトランスジェンダー
映画が、なんとこの前の
ベルリン国際映画祭で
テディ審査員特別賞と
観客賞

受賞したとのこと。

果たして…

「彼らが本気で編むときは、」あらすじ

家出した母親。
家に残された少女トモは
おじのマキオに引き取られる。
しかし、マキオの家には
トランスジェンダーの
恋人リンコがいて…

荻上直子監督、どうした(褒め言葉)

先に言っておくと、
本作はトランスジェンダーという
「障がい」を描いた作品だが、
リリーのすべて

」や
キャロル

」と比べると、
社会的差別描写はかなり弱いです。
差別による「痛み」が希薄です。

しかし、本作が重要なところは
あの荻上直子監督が
性的マイノリティに
挑んだことにある。
あの「バーバー吉野」、
「かもめ食堂」、
「レンタネコ」の監督。
職業にリアリティを持たせない
「おままごと映画」の巨匠
(ブンブンはスキですよ~)。
そんな荻上直子監督が、
いつもの片桐はいりや、
もたいまさこ、
小林聡美を封印してまでして
性的マイノリティである
トランスジェンダーに
向かいあった。

観る前はかなり不安でしたが、
これがかなり良かった。
まあ、確かに介護施設の描写等
現実離れしているのだが、
他の監督が描いたら卑猥で
下品になるだろう
脚本や演出が多いのに
これが美しいのです。

やはり、生田斗真扮する
トランスジェンダーの
リンコさんの優しく
柔らかい手つき、
翳りを見せつつ
ポジティブであろうと
する演技に説得力がある
からであろう。

最初は、リンコのことを拒絶しつつも
段々かけがえのない
存在へと変わっていく
少女の心境の変化を肉体的、
空間的距離で緻密に
描き出される美しいさに
圧倒されました。

また、同様に脚本の
緻密さにも心を奪われる。
ここでは一つだけ語ると、
リンコが毛糸で物作り
をしており、トモに
「108個つくらないと
いけないんだ」
と話す。
「108?消費税?」と言う。
するとリンコはくすり
と笑って、
「煩悩だよ煩悩」と言う。

こんな粋でハイセンスな会話が
2時間観客を包み込む。
トランスジェンダー映画って
重くシリアスな脚本が多いのだが、
ここまで軽やかでくすりと
笑わせてくれる脚本は
荻上直子ならでは。

しかも、従来の「おままごと」映画
のように、テキトーに
自分の空想で物語を展開
するのではなく、キチンと
問題に向き合っているこの
バランス精神に感動した。

つまり「彼らが本気で編むときは、」は
荻上直子最高傑作であると同時に、
ニコラス・ウィンディング・レフンの
ドライヴ

」同様イレギュラーな作品です。

とにかく、生田斗真と少女役の
柿原りんかの演技が素晴らしい
ので
是非劇場でウォッチしてみて下さい。

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