【ホセ・ルイス・ゲリン特集】「工事中」解体されるバルセロナのスラム街で

工事中(2001)
EN CONSTRUCCION(2001)

監督:ホセ・ルイス・ゲリン
出演:ファニ・ロドリゲス・モリナ、
イヴァン・グズマン・ヒメネスetc

評価:80点

現在、東京都写真美術館で開催中の
「ホセ・ルイス・ゲリン特集」

「ミューズ・アカデミー」や
「シルビアのいる街で」の
ホセ・ルイス・ゲリンが
地元バルセロナのラバル地区・
旧集合住宅の解体を
18ヶ月、120時間にも
及び撮影し編集した
記録映画だ。

果たして…

「工事中」あらすじ

ラバル地区旧集合住宅の解体と
高級住宅の建設が行われる
バルセロナを舞台に、
若い街娼と脚を怪我した恋人、
元水夫で廃品回収業の老人、
工事現場の男等の
日常が映し出される…

美しくも切ない破壊と創造

ゲリンは「シルビアのいる街で」等、
徹底的に画面を作り込み、
美しく清々しい映像を展開する
作家である。

それはドキュメンタリーに
なっても変わらない。
茶色の壁に瞳が沢山
描かれているグラフィックが
シャベルカーによってクズされていく。
旧住宅地が長年掛けて創り上げてきた
歴史や美術が壊されていく哀愁が
描かれていく。

それと同時に、建設現場が
映し出される。
日本人からするとあまりにも
怖い命綱なしで、
自分の細い足場をハンマーで
破壊していく土方たちに
恐怖を覚える。

そしてモロッコから
移住してきたレンガ積みの男は
仲間と駄話しながら、
レンガを積み上げていく。
親方が来ると、
「あっヤベェ」と
会話を急に止める
コミカルな場面もある。

引用された映像・写真について

実はこの「工事中」は年末に
購入したDVDで鑑賞したので
中に解説書が入っていたのだが、
劇中に度々映し出される
バルセロナのアーカイブ映像は
以下から引用されている
とのことだ。

1.写真家フアン・コロンの8ミリ作品
2.エンリク・リプロル・フレイシャス、
ジュゼップ=マリア・ラモンの
記録映画「El alegre Paralelo(1960)」

3.フリオ・サルバドルの
劇映画「Sin la sonrisa de Dios(1955)」

火力発電所について


本作で象徴的に登場する火力発電所だが、
1912年から1989年まで稼働し、
現在は芸術遺産として保存されているとのこと。

本作を観るとバルセロナに
行きたくなること間違いなしな
作品でした。

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