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「不安と魂/不安は魂を食い尽くす」ファスビンダー幻のカルト映画アテネフランセで観てきた

「不安と魂/不安は魂を食い尽くす」ファスビンダー幻のカルト映画アテネフランセで観てきた

不安と魂/
不安は魂を食い尽くす(1974)
Angst essen Seele auf

不安と魂
監督:ライナーヴェルナーファスビンダー
出演:ブリジット・ミラ、
ライナーヴェルナーファスビンダー、
エル・エディ・ベン・サラムetc

評価:5億点

不安と魂
先日、アテネフランセで行われた
ファスビンダー特集上映

行ってきました。
お目当ては、「不安と魂」!

カルト映画入門書
「101 CULT MOVIES YOU MUST SEE BEFORE YOU DIE」
でも紹介されているものの、
日本ではDVD絶版、
ほとんど観ることが出来ず、
幻の作品として君臨していた。

ブンブンも、その本を入手
したときから観たいと思っており
早5年、ついにアテネフランセの
特集上映で観ることができたのだ(*^_^*)

「不安と魂」あらすじ

ダグラス・サーク「天はすべて許し給う」と
「悲しみは空の彼方に」
を元に、
R.W.ファスビンダーが
移民問題、人種差別問題に
切り込んだ作品。

モロッコ移民アリは行きつけのバーで、
びしょ濡れの老婆を見かける。
いたずらに、老婆と遊んでみたら、
老婆がべた惚れ!

その東欧系ドイツ人である老婆
エミ・クロウスキーは、
家族から煙たがられ、
お掃除おばちゃんとして
働く寂しさを埋めようと、
アリに迫る。

そしてアリも、
段々恋愛感情が生まれ
エミと結婚するのだが…

風刺劇の最高傑作!

あらすじをみると、極めて
良くありそうなメロドラマに
見えるのだが、
乾いたタッチが十八番の
ファスビンダーの手にかかると、
飛んだ不気味なブラックコメディ
できあがる。

本作で描かれる黒人と白人、
若者と老人という
エキセントリックな愛には
同性愛だったファスビンダーの
思想もねじ込まれ、非常に
歪なものに見える。

黒人青年アリの
ねっとりとしたナンパを
始め、お掃除おばちゃん
エミが「結婚しよう!」と
血迷って言うと、
アリが「アリ 結婚する 君と」
と言い始めたり、
いきなりアリがシャワーを
浴びているところを見て、
「美しい身体だね♡」と言ったり、
ラブストーリーとして
踏むべき手順をすっ飛ばして
剛速球で情事を育む。

その異様さにブンブンだけでは
なく他の観客も大爆笑なのだが、
ハッと気がつくと、
画面にはバーやエミの家族の軽蔑の
目が立ち並ぶ。
そう、観客は気づかぬうちに自分が
差別的な目でこの異様な移民カップル
を観てしまっていることに気づかされる。

イジメ描写と後半の展開

かくして結婚したアリとエミ
だったが、周囲の蔑視は凄く、
ひいきの商店ですら物を売ってくれなくなる。

差別により追い詰められていく。
幸せなはずなのに、追い詰められていくのだ。

しかしながら、とあるファンタジックな展開で
物語は急変する。いつしか、いじめは
なくなりエミは真の幸福を得るのだ。

その時、観客は衝撃を受ける。
エミの純愛は失われ、
傲慢な愛に変わっていたことに。

もう終盤になると、アリが
エミの欲を満たす道具に
なっていることが可愛そうで
可愛そうでいたたまれなくなってくる。

そう、本作は差別される側も
無意識に自分が差別的になって
しまう恐怖まで描かれているのだ。

恐らく、この文章を読んでも
イマイチ伝わりにくいと思う。
それぐらい、予告編やあらすじ
だけでは面白さが分かりにくい
厄介な作品だが、
一生に一度もし観る機会があれば、
是非とも挑戦して欲しい。

ファスビンダー映画に
興味が湧いてきたので、
「あやつり糸の世界」や
「ケレル」
を観てみたいブンブンでした。

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