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【「バンコクナイツ」完成特集】「サウダーヂ(35mm)」富田克也がシニカルに突きつける地獄の地方

【「バンコクナイツ」完成特集】「サウダーヂ(35mm)」富田克也がシニカルに突きつける地獄の地方

サウダーヂ(2011)

サウダーヂ
監督:富田克也
出演:鷹野毅
伊藤仁、田我流etc

評価:95点

2004年以降、決してDVD化しない
独自路線で映像を作り続ける
集団・空族。

そんな彼らを
一躍有名にした傑作
「サウダーヂ」。

↑ライムスター宇多丸
も大絶賛していました。

2011年に観逃してから
5年の月日が経った
昨日渋谷シネマヴェーラ
で観てきました。

「サウダーヂ」あらすじ

山梨県の田舎町を舞台に、
不況と産業の空洞化に
苦しむ土方・ラッパー、
ブラジル移民、タイのキャバ嬢
の人生を描いた作品。

人種のサラダボウル

最近、ブンブンの住む街
東京は外国人に溢れている。
街を一歩歩けば
中国語、ヒンディー語、
韓国語、フランス語、そして
英語
と様々な言語が飛び交う。
まさに人種のサラダボウルな
国になってきたなと思うのだが、
実は一見田舎で日本人しか
住んでいないように見える
山梨県はとっくに
人種のサラダボウルに
なっていたことが本作で分かる。

優秀な若者は都会に流入してしまい、
街はシャッター街に…
労働者を集めるために
ブラジルやタイから安い労働者を
集めてくる。
そして、残された底辺の人々は
彼らと共存しないと行けない。

都会のスラム街以上に
スラムっている。
それこそ1970年代の
ブロンクスさながらに
なっている現状を
富田克也は
35mmフィルムで映し出す。

まるで、中上健次の
被差別部落小説を
読んでいるがごとく
時代が止まってしまった
感じを画面いっぱいに
まじまじと見せつけられるのだ。
まさにサウダーヂ(≒郷愁、憧憬)
が目の前に広がっていた。

なるほど、これはDVDで観ても
わからないな~

「ズートピア」的発想の罠

本作に出てくる登場人物は、
皆「違う世界に憧れ」を抱いている。

タイやブラジル人は、
高い収入を求めて日本に来る。
土方は仕事を求めて
タイに憧れを抱く。

それぞれ形は違えど、
憧れと現実とのギャップに
失望する話となっている。
まさに「ズートピア」で
うさぎのジュディが
警官に憧れズートピアに
行き後悔・失望する様子が、
何層にも渡って描かれている。

例えば、東京から帰ってきた
クラブ主催者の女がいる。
彼女は底辺しかいない田舎生活
に嫌気がさし、美貌を使って東京に
行く。しかし、東京の生活に
失望し山梨に戻ってくる。
そう、彼女は東京でクラブを
仕切るよりも山梨で
ガキ大将のごとく
移民を仕切っている方が
良かったのだ。

他にも、無職になった土方
がタイ人のキャバ嬢を
連れてタイに行こうとする。
するとタイ人が、
「タイは温かい?物価が安い?
楽してくらせる?
タイをなんだと思っているの?」

とキレるシーンがある。

人は現実逃避をするために
違う世界に憧れを抱くが、
行ったら行ったで壮絶な
人生が待っている。

それに気づけず、
もがき傷つき合う
人々に泣けてきた。

2時間47分と邦画にしては
とても長い作品だが、
一生に一度観る価値のある
大傑作でしたよ。
定期的に巡回上映されているので
興味ある方は
下記空族のHPで確認をお願いします。
(空族公式HP)

最新作「バンコクナイツ」
2017年2月公開

本作では日本人から観たタイ人
が描かれていたが、
実際タイはどうなっているのだろうか?

空族が新たな舞台として、
タイ・バンコクでロケを敢行した
最新作「バンコクナイツ」が来年
2017年2月に公開されます。

3時間と超大作ではあるが、
すでに第69回ロカルノ映画祭
若手審査員 最優秀作品賞受賞

をしている期待作。

例のごとくDVD化はなさそうなので、
劇場で観ることをオススメしますよ~

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