【ネタバレ】「怒り」吉田修一×李相日、妻夫木聡と広瀬すずの演技がバケモノだった件

怒り(2016)

怒り 映画

監督:李相日
出演:妻夫木聡、渡辺謙、
広瀬すず、綾野剛、宮崎あおい、
松山ケンイチ、三浦貴大、
森山未來etc

評価:80点

「横道世之介」、「パレード」
などで知られる我が法政大学出身の
小説家・吉田修一の同名小説を、
「フラガール」「悪人」で高い評価を受けた
李相日が映画化。
豪華俳優陣で固める
東宝またしても
本気の作品…いかに?

「怒り」あらすじ

とある閑静な住宅街で
凄惨な殺人事件が発生。
結局、犯人を捕まえる
ことはできず1年が立とう
としていた。

そんな中、3人の
謎の男が出現する。
1人目は、沖縄の
無人島に現れた男。

2人目は、
上京してキャバ嬢
をやっていた女が
実家に連れてきた
訳ありな男。

そして3人目は、
ゲイの男の前に
現れた暗めな男。

果たして、あの忌まわしい
殺人事件を起こしたのは
誰だ…?

※ここから先は犯人に
関することが書かれています。
映画・小説未観・未読者は
速やかにこのページを閉じ
ましょう!

ハードな映画3本立て!

本作は3つの男の人生の
中から、殺人犯を探していく
タイプのミステリーである。

そう聞くと、犯人以外の
人生描写が雑になりそうだが、
この「怒り」は一切妥協しない
重厚な話3本を2時間半に
ねじ込んでいる。

まず、犯人である
沖縄の男の描写。

佐久本宝扮する
沖縄の孤島に住む少年と
広瀬すず扮する
内地から来た少女。
このカップルの前に
謎の男(森山未來)がやってきて、
親睦が深まる。

しかし、ある夜、
広瀬すずが米兵に
冒されてしまう。

何も出来ない、
佐久本宝と森山未來。
トラウマがトラウマを
呼びどうにもできなくなっていく。

広瀬すずはコメディエンヌ
だとずっと思っていたのだが、
米兵に冒されるシーン、
そしてトラウマにより少女から
女になってしまう悲劇を
迫真の演技で魅せる。
まじで本当の強姦シーンを
撮っているのではと
思うほど恐ろしい。

そんな鬼畜シーンと裏腹に、
海のシーンはまるで天国の
ような青く透き通ったものを
魅せていく、落差の激しい
コントラストで描くから、
沖縄パートのやるせない
怒りが非常によく描けている。

そして2つ目、千葉編。
渡辺謙が東京で
キャバ嬢をやっていた
宮崎あおいを救出するところから
はじまる。そして、彼女は同時に
松山ケンイチ扮する訳ありな
男を連れ込む。
親父としては、なんとか娘に
まっとうな人生を送って欲しいと
願うが、弱気になりどうにもできない。
そのうち、殺人犯の特徴と
松山ケンイチが似ている
ことがわかり、思い悩む。

宮崎あおいの純粋過ぎるが
故にドンドン墜ちていく様と
渡辺謙の憐れみの目のコントラストが
これまた重く観客にのしかかる。

沖縄編以上に閉塞感が強いパート
となっている。

そして、東京編。
これは妻夫木聡がとにかく
バケモノみたいなゲイ演技をしている。

つまり本当にいそうな程
リアルなゲイを演じている。
そして、きらきらさせている目の
裏側に魅せる狂気が
メチャクチャ怖い。

彼の新しく出来たカレシ
(綾野剛)と仲良く暮らすが、
段々疑惑に駆られていく
様子はノワール映画さながらの
緊張感とじとじと感があります。

この3編が互いに交差しながら
描かれる。小説じゃないと危険だろう
と思われる犯人写真公開のシーンも、
見事に森山未來、綾野剛、松山ケンイチ
の写真を合成して3で割ったものを
使うことで回避
しておりお見事だ。

よく1本にまとめたな

どの話もそれだけで1本の
作品が出来てしまうので、
キレイに話をまとめているとは
いえ、ゴチャゴチャしている
感じは否めない。

しかしながら、恐らく監督は
相当役者を苛めただろうと
思うほど、あまりに迫真。
怒りの叫びを2時間半分
魅せつける。

これは役者に拍手喝采せざる
得ない作品と言えよう。

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