【ベネチア国際映画祭】「苦い銭(Bitter Money)」オリゾンティ脚本賞受賞ワン・ビン新作ドキュメンタリー

苦い銭(2016)
Bitter Money
苦銭 KU QIAN

bitter-money

監督:王兵(ワン・ビン)
出演:Xiao Min, Ling Ling,
Lao Yeh

評価:90点

第73回ベネチア国際映画祭で、
オリゾンティ部門脚本賞と
Human Rights Nights Awardを
受賞
した「Bitter Money」を
オンデマンド映画祭
Festival Scopeで観た。

監督のワン・ビンは
「鉄西区」を始め、「収容病棟」
等、外国人ジャーナリストが
どんなに頑張っても行くことの
できない「どん底」を撮り続ける
2010年代を代表とする
ドキュメンタリー作家。

そんな彼の新作は、
中国東部にやってきた
移民を追ったドキュメンタリーである。

「Bitter Money」あらすじ

田舎から、中国東部にやってきた
人々。人々は、一日中
ミシンで服を大量生産し、
僅かな日銭を得ていた。
しかし、あまりに収入が
低いため、カップルですら
愛に亀裂が入るのであった…

地獄のズートピア

本作は驚いたことに
ズートピア

」と構造が全く一緒なのである。

ミライへの希望を抱き、
中国東部にやってきた
女性。

しかしながら、現状は汚く
暗い世界。貧困といじめに
遭いながらも、
希望に向かって生きる
人に本作はフォーカスを
当てているのだが、
「ズートピア」そのものだよね?

しかしながら、コチラの
「ズートピア」はワン・ビンが
撮っているだけに、
観客の予想の100倍地獄
どん底な世界を魅せる。

ワン・ビン、よく撮れたなー
と感心するドラマが徹底的に
映し出されるのだ。

特にブンブンが、印象的に
感じたのが、ある女性の話。

仕事から帰ると、
夫から金を請求される。
払えないと言うと、
夫が激怒し、
「金を払えないヤツは
家から出てけ!離婚してやる」

と罵声と暴力で
妻を押さえつけるのだ。

その女性が職場である
服工場へ行くと、
職にあぶれたであろう
男から嫌がらせを受ける。
「俺は知っているんだぞ!
お前は離婚したんだろ、
そうだろ!」
とはさみを突きつけられる。

まさに理不尽すぎて
日本のブラック企業以上に
ブラックだ。

給料が少ないともの申せば、
「お前は欲深い」
と罵られ、
雨の中、屋外で服の
出荷作業をしないと
いけない。

海外の貧困を扱った
ドキュメンタリーは
日本でもNHKを始め
沢山作られ観ることができるが、
ここまでの底を魅せてくれる
ドキュメンタリーがあるだろうか?

たった2時間半で、
中国東部の地獄を痛いほど
体験させてくれるトンデモない
ドキュメンタリー。

ワン・ビンは確実に
作品の質を上げている。
今回は時間配分を含め、
完璧なドキュメンタリーと
言えよう。

なんと、本作は
・11/22(火)9:40~
・11/26(土)12:40~
有楽町朝日ホールにて
行われる第17回東京
フィルメックス
で上映が
決まりました。
今年のベストテン入り当確
レベルの傑作なので、
是非観てみてください。

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