“Ç”「弥次喜多道中記」オペレッタ時代劇という奇跡なジャンル

弥次喜多道中記(1938)

弥次喜多道中記2

監督:マキノ正博
出演:片岡千恵蔵、杉狂児、
ディック・ミネ、志村喬etc

評価:75点

皆さん、オペレッタ時代劇という
ジャンルをご存じだろうか?

実は今となっては数年に一本
あるかないかとなってしまった
ミュージカル映画ですが、
日本映画を支えたのは
ミュージカル映画といっても
過言ではなかった。

「クレイジーキャッツ」映画や
「男はつらいよ」「トラック野郎」

など、今から数十年前の映画は
映画と歌が非常に
重要な役割を果たしていた。

さらにさかのぼると、
山田洋次監督「下町の太陽」

のように、ヒット曲が出ると
それに即した映画を生産し、
曲も映画もヒットさせよう
というビジネス戦略が
主流となっていた。

そんな音楽と映画を
密接にくっつけた。さらに、
日本と外国の文化を混ぜた
和洋折衷演出で尚且つ
日本らしさを存分に出す
手法を確立した監督は
マキノ監督であり、
彼こそが試みたオペレッタ時代劇
にあるとブンブンは考えています。

オペレッタ時代劇とは、
その名の通り、欧米のオペレッタ
(喜歌劇・軽歌劇)のスタイルを
時代劇にそのまま落とし込んだ
ジャンルのことだ。

今日は、そんなマキノ監督の
オペレッタ時代劇「弥次喜多道中記」
を紹介するよ!

「弥次喜多道中記」あらすじ

十返舎一九の「東海道中膝栗毛」
をベースにした物語。
遠山金四郎が箱根の関所で
出会った謎の男と旅を
共にする。

架空の人物弥次さん喜多さん
に間違えられた二人は、
京都到着後再会の約束をする。
実は、謎の男の正体は
鼠小僧だとは知らずに…

アメリカミュージカルより好き

ブンブン、以前大学の授業で
ミュージカル映画史を受講した際、
50年代以前のアメリカミュージカルを
沢山観させられたのだが、
どれも甘ったるくて好きになれなかった。
(「紳士は金髪がお好き」のレポート書きました

)

ところがどっこい、日本の昔の
ミュージカルは面白い。

それこそ、1931年日本初トーキー作
「マダムと女房」のサザエさんチックな
ゆるーくて家庭的なギャグに
コミカルな音楽が絡む演出もド嵌まり
した。

本作は、マキノ監督が1934年に「さくら音頭」
でトーキー技術を磨いた後の作品。
全力投球でジャンルのパイオニアとなっています。

まず、耳を澄ましてください。
一見、和の音楽に聞こえるが、
アコーディオンやフルートの
音が聞こえてきませんか?
そう、これがマキノ監督の大発明。
時代考察を無視した楽器を
サントラに充てるものの、
日本的音階を守るが故に、
全く違和感がないのだ!

しかも、盆踊りや夏祭りのような
心地よい祭りサウンドなので
ドンドンテンションが上がります!

特に、ブンブンが好きなのは
休みどころで、
鼠小僧が店のおじさんと
金をかけて饅頭対決をするシーン。
間抜けなんだけれどもバトル
にぴったりな音楽。
平和すぎて和みます(*^_^*)

他にも多数のギャグや
ユニークな音色が仕組まれて
いるのだが、ラストになると
遠山の金さんと鼠小僧の
友情に切なくなる。
いやー良いですね!

「鴛鴦歌合戦」への架け橋!

本作の成功がなければ、
ブンブンのオールタイムベスト
「鴛鴦歌合戦」は存在しませんでした。

本作の成功で、
続編にあたる「弥次喜多 名君初上り」
の製作が予定されたが、
肝心な主演の片岡千恵蔵急病に
より、2時間しか彼のシーンは撮影
できなかった。

それで、急遽内容を変更し
キャストはディック・ミネ、志村喬
と使い回し、10日ぐらいで
撮りきった作品が伝説の
「鴛鴦歌合戦」なのである。

あまりの無茶なスケジュールにも
かかわらず、「弥次喜多道中記」
をさらに洗練させた映画と
なっており、ブンブンは
正直「東京物語」に勝てる
唯一の作品だと思ったぞ!

是非とも、ミュージカル映画好き、
日本映画好きは一度観てみては
どうでしょう?

↑宮藤官九郎の
「真夜中の弥次さん喜多さん」
はマキノ監督のオペレッタ時代劇に
愛を捧げていますぞ~

ブロトピ:音楽Blog

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