“Ç”【デンマーク映画研究】「モルグ/屍体消失」ポストドグマ映画の第一歩!

モルグ/屍体消失(1994)
Nattevagten(1994)

nattervagten

監督:オーレ・ボールネダル
出演:ニコライ・コスター=ワルドー,
ソフィエ・グロベルetc

評価:70点

デンマーク映画

ブンブンは今、卒業論文を
書いていて、デンマーク映画
についての文献を読みあさっています。

ただ、日本にはほとんど研究者が
おらず、まともな文献が見つからないので、
国会図書館からデンマーク語の
資料を入手。翻訳作業を
している最中です。

そんな中、日本の文献では
一切出てこなかった話が
書いてありました。

それは「ドグマ95」以後、
アメリカのジャンル映画と
ヨーロッパ映画のアート性を
上手く配合した映画が生まれ、
その第一歩を踏み出したのが
「モルグ/屍体消失」だという話だ!

ドグマ95とは、
「偽りなき者」の
トマス・ヴィンターベア監督と、
「ニンフォマニアック」の
ラース・フォン・トリアーが
始めた映画運動で、
フランスで言うヌーベルヴァーグ
のような映画革命である。

日本のデンマーク映画論文、
それこそドグマ映画に特化した
資料でも一切出てこない
このタイトル。
当然DVD化されていませんm(_ _)m

ただ、奇遇なことに、
Amazonに、
VHSならあるとのことで、
500円で買ってみました。
モルグ屍体消失

↑ついでに1970年代デンマーク製官能映画
「ヘンリー・ミラーの性生活/クリシーの静かな日々」
も購入してみた。

さて、今日は「モルグ/屍体消失」
の感想を書いてくぞ!

「モルグ/屍体消失」あらすじ

ある学生は、金になるからと
死体安置所(モルグ)でアルバイトを始めた。
しかし、静けさと不気味さに耐えられない
学生は、音楽をガンガンかけたり、
屍体保管所の鍵をダッシュで締めに
いったりと頑張るものの、
モルグで起きる怪奇現象に
耐えられなくなる。

そんな彼の元に、恋人が遊びに来て、
彼を応援するためにモルグで
セックスするのだが…

いやーな怖さがあります

先日観た、「クリーピー偽りの隣人


に近いいやーな感じが全体に立ちこめる
作品でした。

なるほど、本作を観てみるとゲテモノ
アメリカ映画の演出を意識
しつつも、アート性が高いホラーと
言えよう。

ふがいない男がエッチをし、
フラグを立てるあたりや、
音で焦らす演出は
アメリカのホラーや
スリラー映画のプロットを
かなり意識して持ってきている。

しかしながら、
ライトの演出や音楽の
使い方、階段の使い方が
非常に計算されていて
美しかったりする。
そしてそれが怖い。

例えば、ロックをガンガンに
ながしているシーンがある。
観客は、「恐怖シーン」はないだろう
と油断する。突如、音楽がブチッ
と切れる。背筋がぞわぁとします。

また、突然光り始める
警報ランプを長~く
魅せてくるので、
観客を不安にさせることができる。

そして、主人公がセックスをした
次の日に、モルグの屍体が
小股を広げている珍事が発生。
「おまえ、屍体とエッチしただろう!」
と疑いをかけられ、
ミステリー要素も加わってくる。

決して、「ブルーベルベット」や
「シャイニング」
のような域には到達していない。
いわばB級映画には変わりないのだが、
これがデンマークで大ヒット
(1994年デンマーク国産映画興行収入全体の
20%を占める程の大ヒット)

これがきっかけで、アメリカ映画の暴力的
要素とデンマーク映画のアート性を
融合した作品が大量生産され、
ニコラス・ウィンディング・レフンの
「プッシャー」
などを誕生させたと
なるとやはり重要な作品だなと感じた。

ちなみに、本作はハリウッドでも
ユアン・マクレガー主演で、
「ナイトウォッチ(1997)」という題で
リメイクされています。

ニコライ・コスター=ワルドー主演
「キング・オブ・エジプト」
9月9日日本公開!

本作の主人公を演じた、
ニコライ・コスター=ワルドー主演
「キング・オブ・エジプト」が
この秋日本で公開するぞ!

王座と視力を奪われたホルスが
こそ泥と力を合わせてセト

と戦う
物語だそうです!

P.S. VHSの予告編がB級過ぎw

禁断症状

禁断症状2

VHSって結構、映画オタクでも
知らない作品が紹介されることが多い。
「モルグ/屍体消失」には
「禁断症状 Kleptomania」という
官能画の
予告編が入っていた。
逆に観たくなったぞw

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です