“Ç”「オマールの壁」仲間を売るか、人生を失うか?

オマールの壁(2013)
OMAR(2013)

オマールの壁

監督:ハニ・アブ・アサド
出演:アダム・バクリ,
サメール・ビシャラットetc

評価:70点

カンヌ国際映画祭で絶賛され、
アカデミー賞にも
ノミネートされた
パレスチナ映画
「オマールの壁」が
アップリンクで上映。

2年ぐらい待ち、
ようやくの公開
とのことで観てきました。

「オマールの壁」

イスラエルから壁をよじ登り、
パレスチナに住む幼なじみの
家に行きイスラエル政府軍に
対抗する準備をしている
オマール。

彼は幼なじみタレクの妹
ナディアと密かに愛を
育んでいた。

ある日、
イスラエル兵を銃で
撃った罪でオマールは
捕まってしまう。

獄中で担当者に、
90年以上の懲役を
言い渡され、
仲間を裏切ることを
条件に釈放される。

同じくして、
組織から裏切り者が
内部にいる情報が
出回っていることを知り…

パレスチナが観た真実

2年前ぐらいにフランス製作の
パレスチナドラマ「もうひとりの息子」
が公開され評判を呼んだ。

しかし、本作を観るといかに表面的
なのかがよく分かる。

確かに、本作も
「あんな毎回同じ場所にロープを
垂らしたらアカンでしょう」

みたいなファンタジーはあるのだが、
そんなのは重要ではない。

一番大事なのは、
反政府軍内部の紛争だ。

軍に捕まり、
一生の監獄生活か
裏切りによる触法かを迫られる。
それも一人だけではないので、
組織の内部が自然と崩れていく。

軍のゲスいやり方が垣間見られるのだ。
また、オマールが逃走するシーンも、
迷路のように入り組んだ道を
疾走する。アクション性を
確保しながらも、
パレスチナの街をしっかり
描写しており、
普段パレスチナの映像に
触れないブンブンは新鮮でした。

脚本が凄い

よくある、投獄モノや
この手の社会派ドラマは
意外と表面だけで、
組織の内部まで描くことは少ない。

本作は、オマールと幼なじみタレク、
そして仲間のアムジャド

三角関係をよく描けている。
軍に捕まったことから、
互いの友情が崩れ、
バレルカバレナイか
サスペンスへと発展していく。
そしてそれが悲劇につながる。

ラストのあまりにも格好いい
演出によるカタルシスが、
前半部分で濃縮された負の
エネルギー分熱い。

全身痺れました。

ハニ・アブ・アサド監督の
「パラダイス・ナウ」
観たくなったぞ!

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