“Ç”【書評】「水の継承者 ノリア」イモータンジョーの凄さが分かる!

水の継承者 ノリア(2012)
memory of water(2012)

ノリア

作者:エンミ・イタランタ
訳:本延弘子

先日、西村書店から
フィンランドのSF小説
「水の継承者 ノリア」の
献本頂きました。
就職活動で、中々本を読む時間が
取れず、ようやく読んだのですが
これがめちゃくちゃ面白かったです!
「映画化」してほしい!
と思ったら、表紙帯に「映画化決定」
と書いてあり非常に嬉しく思ったぞ!

「水の継承者 ノリア」のあらすじ

資源が失われたスカンジナビア連合のはるか北。
水を隠すことは犯罪だと言われた国家の中で、
ある親子には秘密があった。
茶人であるお父さんは綺麗に澄んだ泉
のありかを守り続けていたのだ。
そんな秘密をノリアがサンヤにばらしたことから…

荒廃感が凄い!

本作は資源が乏しい世界を舞台にしており、
また主人公ノリアが茶人の弟子であることから、
水に対する表現が豊かで、
いかにこの世界が水を大切にしているかが
よく分かる。

「水は月とともに流れ、大地を抱く。
火の中で死ぬことも、大気の中で
生きることも恐れない。(p8より)」

「水が石を削るように、
秘密が私たちの関係を削っていく。
(p188より)」

「死は水の同盟者だ。
いずれも私たちと切り離すことはできない。
なぜなら、私たちは変幻自在な
水と近接する死によって
できているからだ。(p250より)」

こういった美しい文体が
荒廃した世界を神秘的に魅せており、
もうお分かりであろう。
「マッド・マックス/怒りのデス・ロード」
好きなブンブンにとってビンビンである。

イモータンジョーは凄かった!

本作の帯にはレイチェル・カーソンの
「沈黙の春」を引き継ぐと書いてあり、
実際に内容も汚れた水の説明描写
なんかその通りだ。

しかし、映画人ブンブンは
「マッド・マックス/怒りのデス・ロード」
目線で語らせて頂きます。

あの映画の冒頭で、イモータンジョーが
水をコントロールする場面がある。
大量の水を数秒民に分け与えた後、
「水に心を奪われるな!生ける屍になるぞ!」
と吐き捨てる彼だが、
この小説を読むとあの台詞がよく分かる。

「水の継承者 ノリア」の主人公ノリア
は父の死後、隠された泉の後継者となるのだが、
存在をサンヤにばれてしまう。
サンヤは親友だからと水を分け与えるのだが、
それがきっかけで町中に泉の存在が
ばれてしまい、ゾンビのようにぞろぞろ
とやってきてしまう。
ノリアは心優しい女の子。
水をどんどん分け与えてしまい
悲劇の門を完全に開けてしまう。

確かに、苦しい民を救いたい気持ちは分かる。
しかし、ノリアは水をあげすぎだ。
民の幸福を願うのなら、
きっちりと泉を管理すべきである。

そう考えると、イモータンジョーが
水を徹底管理し、圧倒的カリスマ性で
統治していた理由がよく分かる。
実は彼は民を愛していたのだ!

それ故に、マッドマックスのラスト、
ガールズ軍団が水を
民に開放したことは新たなる
悲劇の始まりなのではと
考えさせられぞくぞくしましたw

つまり、ブンブンは何が言いたいのか
と言うと…
「マッド・マックス/怒りのデス・ロード」
好きは「水の継承者 ノリア」を
読もうぜ!

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