マッドマックス時代を予言?「落下の王国」13カ所の世界遺産について

ザ・フォール 落下の王国(2006)
THE FALL(2006)

監督:ターセム・シン
出演:リー・ペイス、カティンカ・ウンタルーetc

評価:80点

聴講しているゼミの最後の授業で観た作品。6年ぶりに観たのだが、映画オタクには溜まらない、そして世界遺産好きには溜まらない作品だ。なんたって、2時間足らずの中で世界24カ国以上、世界遺産13件、その他ウユニ湖やスペインのラ・マンチャの風車など様々な遺跡を冒険できる作品なのだ。

そして、製作当時2006年にしては未来を予見したかのような非常に斬新な作品でした。

「落下の王国」あらすじ


「ザ・セル」で鮮烈なビジュアル世界を築いたターセム監督の長編監督第2作。撮影中の事故で脚を負傷し、恋人を主演俳優に奪われて人生に絶望したスタントマンのロイは、入院中の病院で知り合った無垢な少女アレクサンドリアに、薬剤室から自殺用の薬を取ってきてもらうおうと、彼女の気を引くために壮大な物語を語り始める。それは、暴君に立ち向かう5人の勇者たちの物語だった……。13の世界遺産を含む世界24カ国以上で4年がかりで撮影された美しいロケーションも見どころ。
映画.comより引用

ロケーションの良さを前面に押し出す

2000年代のファンタジー映画はコンピューターグラフィックスに依存していた時代と言えよう。特に2006年はその全盛期であり、「スター・ウォーズ」アナキン3部作や「マトリックス」3部作なんか、全面グリーンバック撮影が使われていた。しかし、本作はそれに疑問を投げかける。最先端技術はあくまで作品のフォローに回し、しっかりロケをすることでリアリティのある映像が作れるのではと監督は膨大なロケにより4年をかけて製作した作品だ。

その手法はここ数年ブームとなり、「マッド・マックス/怒りのデス・ロード」や「レヴェナント:蘇りし者」などCGに頼らず過酷なロケでもって躍動感やリアリティを膨らませ、観客に驚きと感動を与える技法として使われるようになった。「落下の王国」はある意味2006年の時点で10年後の映画を予想していたのかもしれない。

3大喜劇王への愛

そして本作がベースとしているのがチャールズ・チャップリン、バスター・キートン、そしてハロルド・ロイドの3大喜劇王の作品だ。

この時代のサイレント映画は、文字通り音がないため、激しいパフォーマンスで観客を魅了する必要があった。劇中にも一瞬登場するが汽車に轢かれるスリルを演出した「キートンの大列車追跡」や、ジャッキー・チェンの「プロジェクトA」の時計台のシーンでオマージュを捧げられた「ロイドの要心無用」などが作られた。

本作は表向きファンタジーだが、裏ストーリーは、彼女に振り向いて貰おうと必死になるあまり無茶なスタントをし怪我、失意から如何にして脱却するかという話だ。
喜劇王のハロルド・ロイドですら親指と人差し指をロケで失った。過酷なロケでの犠牲を描いた話なのだ。

そう考えると、ラストの感動的なオチ。「自分の力で乗り越えてなくね?」と思ってしまうのだが、それでも目の付け所、作品スタイルは今でも驚くところが多い。

登場する世界遺産

トルコ

「イスタンブル歴史地区」

チェコ

プラハ

プラハの歴史地区

イタリア

「ローマ歴史地区」
「ティヴォリのハドリアヌス別荘」

インド

「タージ・マハル」
「ファテープル・シークリー」
「アーグラ城」

カンボジア

「アンコールワット」

中国

「万里の長城」

ナミビア

「トワイフェルフォンテイン」
「ナミブ砂漠」

エジプト

「メンフィスのピラミッド地帯」

フランス

パリ

「パリのセーヌ河岸」

本作では世界24カ国以上(監督自身あまりにも多くロケしすぎて詳しい訪問国数はわからないらしい。上記の国以外ではアルゼンチン、スペイン、ボリビア、インドネシアなどが登場)世界遺産は上記13件が登場するわけだが、本当に贅沢過ぎる。

なんたって、たった数十秒の為にイタリアのハドリアヌス別荘というマニアックな遺産を撮りに行き、万里の長城なんて1秒しか映らない。

そして、世界遺産だけでなくボリビアのウユニ湖(実は世界遺産ではない)や中国の漓江など秘境をメインに訪れており良い意味でも悪い意味でも豪勢である。

本作を観た後はきっと、旅したくなるであろう。

特に階段井戸のチャンド・バオリに行きたくなったぞ!

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