“Ç”「わたしはマララ」ノーベル平和賞最年少受賞者のアカデミー賞有力ドキュメンタリー

わたしはマララ(He named me Malala)

わたしはマララ

監督:デイビス・グッゲンハイム
出演:マララ・ユスフザイetc

評価:20点

この時期は、アカデミー賞前哨戦!
主要部門を中心に、
アカデミー賞の全体像が浮かび上がってくる
楽しい季節です。

今年は作品賞ずっと「マッド・マックス/怒りのデス・ロード


だろうと思ったら、カンヌで絶賛のアート系映画「キャロル」
が奮闘中。アカデミー賞っぽい作品で「Spotlight」や
「ブリッジ・オブ・スパイ」が現れている。

んで、またデヴィッド・O・ラッセルの「Joy」は
ノミネート止まり
なんだろうな~と考えさせられる。
外国語映画賞はソレンティーノの「ユース」や
「真珠のボタン」、当ブログでも絶賛したイラン映画
タクシー

」などがノミネートに思い浮かぶが、
前哨戦で圧倒的にカンヌを震撼させた新人監督
の戦争映画「サウルの息子」が圧勝するフラグが立っている。

…そして、ドキュメンタリー。
先日、長編ドキュメンタリー部門のノミネート候補作
124本が選出されたぞ!
やはり、「真珠のボタン」はドキュメンタリーではないようで除外。

注目作品として、ブンブンが留学中
監督インタビューに成功した思い出ある
ルック・オブ・サイレンス

」。

ディオールの裏側に迫った「ディオールと私」。
結構、海外で評判が高いR&Bシンガーソングライター
であるエイミー・ワインハウスのドキュメンタリーなどが
候補に挙がっています。
(アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート候補作一覧

)

今回、東京国際映画祭でも上映された
ノーベル平和賞を最年少で獲った
マララ・ユスフザイのドキュメンタリーを
TOHOシネマズみゆき座で観てきたぞ!
ドキュメンタリーの中では
ビッグタイトルなだけにアカデミー賞に
ノミネートされそうだぞ~

マララ・ユスフザイとは?


本作の、主人公マララさんは、昨年ノーベル平和賞
受賞した17歳のパキスタン少女だ!
スンニ派の家庭に生まれた彼女は、
勉強が大好きで医者を目指していたのだが、
タリバン政権による恐怖政治で、
女性から勉強の自由を奪っていた。
2012年に中学校からスクールバスで帰宅途中に
武装集団に襲われ、銃弾が脳を直撃、
避難も兼ねてイギリスで治療を受ける。

その体験を本にしたり、国連で演説したりして、
パキスタンの現状を語る。パキスタン本国からは
裏切り者と非難されようと、屈せず女性の教育の
大切さを訴えノーベル賞を受賞した女の子である。

マララの本気を受け止めてあげて!

この手の社会派ドキュメンタリーには2つの手法がある。
一つは沢山のジャンルの人にインタビューをして、
事件や出来事を客観的に分析するスタイル。
もう一つは、当事者に出来るだけ近づいて
生の生活を映し出す。
それこそ、昨日紹介した「牡蠣工場

」なんかそうである。
時に「最後の1本 ペニス博物館の珍コレクション


のような他人の人生を変えてしまったりするので、
ブンブンは後者の方が面白くて好きである。

さて今回紹介する「わたしはマララ」。
好き嫌いは別として、前者寄りの撮り方をしているのだが、
「本気でマララと向かい合っている?」と思う程
酷い作品でした。

まず、そもそもマララさんは現在進行形で
ノーベル賞獲った今でもパキスタンの
女性のために尽力しているから、
後者より、密着して撮るべきなのだが、
変に遠慮したように距離を取っている。
なるほど、前者なのかなと思いきや、
関係者のインタビューがあまりにも少ない。
偶然入手した過去の映像や、
マララさんについていって偶然出会った
人しか画面に映らない。
「ドキュメンタリー映画」って「映画」とついて
いるからには、映画館でしか味わえない
世界を見せることにテレビとの差異を
生み出すものなのだが、これじゃあ
ノーベル賞受賞直後の特番レベル
ではないか!

ブンブンも大学の学会で学部紹介ムービーを
作った時思ったことだが、
ドキュメンタリーは人と会うことにこそ
意味がある。インタビュー対象に遠慮無く
迫ることで何かが変わる瞬間を
撮ることにこそ意味がある。

折角、彼女がノーベル賞を受賞して
パキスタンが、世界が変わるかも
しれないって時に何も映していない
のはどうかと思った。
先日、学校の授業で「ノー・マンズ・ランド」
って作品を観た時に、
「傍観者は加害者だ」と語るジャーナリストが
セルビアとボスニアの兵士の緊迫した状況を
まさに傍観しているシーンがあったのだが、
本作はまさにそれだ。

マララさんが本当に凄い人物だけに
凄くがっかりでしたm(_ _)m

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