“Ç”エルトゥールル号遭難事件が時を超えて…「海難1890」

海難1890

海難1890

監督:田中光敏
出演:内野聖陽、ケナン・エジェetc

評価:65点

今、「海難1890」と「杉原千畝」
日本人の粋さを強調した作品が
全国の映画館で上映されている。
予告編から、どちらも「日本人って凄いんですよー」
アピールが凄くて、実際に安倍晋三総理大臣
外交で「海難1890」を使っていることから
嫌らしいイメージを受ける。

しかし、見ないで評価するのは映画人として
恥すべき行いなので…フリーパスで
見てきました。久しぶりにTOHOシネマズ
西新井に行ってきたぞ~
公開日2日目なのに、結構ガラガラでした。
まあ、しょうがないね。

エルトゥールル号遭難事件の映画化

本作は、2部構成になっており、
前半はタイトルにある1890年、天皇に会いにやってきたトルコ大使が
日本観光中に台風に巻き込まれて、
沈没。貧しい村が60人近くの遭難者を見返り求めずに救助した話だ。

この手の作品は、役者が美談を語り出すととたんにクサイ映画に
なるのだが、何でも気持ちを語りがる日本にしては
かなり抑えられている。
内野聖陽の立ち振る舞いに説得力があり、
またトルコの描写との場面転換が
シームレスに行われていてスマートだ。

テレビドラマっぽさこそ否めないが、
最低限映画で観る価値のある作品に仕上げられている。

そして、私が驚いたのはイランパート。
丁度1985年イラン・イラク戦争が激化し
日本人も「アルゴ」さながらイランから
脱出しなくいけなくなった場面。

あそこのイランの描写が非常に丁寧だ。
恐らく、イランは黒歴史の映画化に
ロケ地を貸してくれるわけがないので、
セットかロケで撮っているのだが、
まるで洋画の戦争映画を観ているかのように
生活感溢れる市街地がそこにはあった。

日本って海外ロケをすると、
悲惨なことになりがちだが、
今回は映像的レベルはハイレベルである。
邦画なのに「アルゴ」のような
スリルを体験できてお得でした(*^_^*)

しかし、やっぱりプロパガンダ映画

まあ、実話だからしょうがないんだけれども、
ドラマ的にそう脚色せざるえないのだが、
やはりラストは都合が良すぎるなと印象を受ける。

空港に沢山のトルコ人が、亡命用の飛行機を待っている
のにトルコ大使館の人がエルトゥールル号遭難事件
のことを語り始め、最初は暴動になるが
すんなり演説を聞いた後、「俺らは車でイスタンブールに
帰るから大丈夫だよ」と飛行機を日本人に
明け渡すシーン。そんなバカなとは思いました。
車でそんな簡単に亡命できるのか?
トルコ人の客の中には、ブチ切れな人だっていたはず。

しかもこの神対応に対し、トルコ政府に賞賛の
電話しかこないって…
まあ、最低限暴動シーンを入れているから
及第点ではあるが日頃、ひねくれた作品ばかり観ている
ブンブンには物足りなさがあった。

とはいえ、132分があっという間に感じる
邦画は珍しい。イランパートが短い感じが
したものの、その時間配分は正しかった。
日本人クリエーターのグローバル力が
ようやく世界標準に追いついたなと感じた
ブンブンでした。

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