“Ç”ジョン・カーペンターよ、けんかシーン…「ゼイリブ」

ゼイリブ(THEY LIVE)

ゼイリブ

監督:ジョン・カーペンター
出演:ロディ・パイパー、キース・デイヴィッドetc

評価:65点

9月に行われたしたまちコメディ映画祭、
映画秘宝祭「グリーン・インフェルノ」

上映
で高橋ヨシキが制作したオープニング映像が
「ゼイリブ」のパロディだった。

男が拾ったグラサンを掛けると、
街中の広告が「従え」とか
「消費しろ」といった、裏側の
メッセージに変わるという
シーンがグラサンを掛けると
町中の広告が「映画秘宝」のロゴ
に変わるというギャグを披露していた。

今回紹介する「ゼイリブ」は
B級映画の巨匠ジョン・カーペンター
が手腕を振るった
後にも先にもない唯一無二
なSFサスペンスである。

「ゼイリブ」ってどんな話?

肉体労働者としてしけた生活を
しているナダ。
ある日、テレビを労働者仲間と観ていたら
突然、変なメッセージが映し出される。
そうすると、仲間の労働者階級が
奇怪な行動に出始め、
不審に思ったナダは調査するうちに
変なグラサンを見つける。

このグラサンを掛けると、
町中の広告の裏側のメッセージが分かる
と同時に人間に化けたエイリアンが
判別出来るようになる。

そして、エイリアンに操られている
人類を救うためナダは
革命を起こすのであった…

低予算だが、面白い

「ダーク・スター」「遊星からの物体X」等
超B級なんだけれど、映像を作る人を
中心に魅了するジョン・カーペンター
の映像美。

彼の「ニューヨーク1997」は
日本の人気ゲーム「メタルギア・ソリッド」
に影響を与えたと言うほど、彼は
クリエーターに愛されている。

そんな彼が、作ったSFなんだけれど、
サスペンス寄りにすることで
低予算化に成功している
「ゼイリブ」はジョン・カーペンター
のフィルモグラフィ上トップレベルの
皮肉の効いた作品である。

特に凄いシーンが、
喧嘩のシーン。
グラサンの魔法に気がついたナダは
肉体労働仲間に真実を知らせるために
「お前、ちょっとグラサンかけてみろ」
と言う。しかし、不審に思った彼は
「嫌だよ~」と断る。

普通の映画だったらこの一悶着を
3回ぐらいやって、ようやく
グラサンを掛けるのが定石であろう。

しかし、「ゼイリブ」では10分近く
に渡り喧嘩を繰り広げるのだ。
しかも、ジャッキー・チェンの
映画のようなキレはない。
確かに、プロレス技っぽいのは
展開されるが、非常にショボい。

まるで、ダチョウ倶楽部のような
コント仕立ての喧嘩を10分近く
繰り広げてようやくメガネを
掛ける。

これってどんな意味があるのだろうと、
考えた。恐らく「保守派を変えるのは
難しい」事を暗示しているのではないだろうか。
誰でも、新しいことをするには躊躇する。
新しいことで人生が破滅するかも
しれないという不安がブレーキとなり、
飛躍できないでいる。
物語の真意を知るべきなのに、
目を背けている人をシニカルに
表現しているのではと感じた。

なんか、全体的にしょぼいのだが、
グラサンのシーンや喧嘩のシーンなど
オマージュしたくなるような
場面が多く、映画好きには
たまらない作品でした。

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