“Ç”カメラドール受賞のコロンビア映画「土と影」

土と影(La tierra y la sombra)

土と影

監督:セサル・アウグスト・アセベド
出演:アイメル・レアル、イルダ・ルイスetc

評価:50点

今年はラテンビート映画祭
で3本の作品を観た。
ザ・クラブ


エイゼンシュテイン・イン・グアナファト


そして「土と影」だ。
前2作は衝撃的作品でしたが、
「土と影」はいかに…?

カメラドール受賞作!その優等生的作りを観よ!

カンヌ映画祭における新人賞カメラドールは
後に凄腕監督になる為の登竜門でもある。
あのジム・ジャームッシュや河瀬直美、
スティーヴ・マックイーン(監督の方)は
ここから有名になった。

2015年カメラドールを獲ったコロンビア出身の
セサル・アウグスト・アセベドの「土と影」は
非常に優等生な作りをしている。

17年ぶりに貧村に帰郷したおじさんは
数々の家族の問題を目の当たりにする。
12年も寝たきりの息子。
給料が払われるかも分からない劣悪な
農場で焼き畑をして日銭を稼ぐ家族。
おじさんが何もできずに、指を
加えて厳しい現実を
徹底したリアリズムで描いている。

貧困×ドキュメンタリータッチって言わば
賞を獲るのにうってつけの内容だ。
この手の作品は、よっぽど酷い撮り方じゃ
なければ比較的賞が獲りやすい。
ましてやドキュメンタリーではなく、
ドキュメンタリータッチのドラマに
することで撮影難易度も低く抑えられる。
故に観ていてちょっとセコいな~
と思ってしまう作品だ。

確かに映像はカンヌに出るぐらいだから、
クールな映像で貧村の厳しい現実を魅せる。
経営者に肉体を搾取される労働者の
構図を突きつける画作りは
流石カメラドールを獲るだけのこと
あるなと思う。

しかし、「ストレンジャー・ザ・・パラダイス」
や「萌の朱雀」のような作家性が全く見えてこない。
よくある貧困映画でとどまってしまっている。

そして残念なのは、人間描写が薄すぎる点にある。
女性や子ども、重病の息子と様々な目線で
貧困を描いているのだが、観ていて苦しい
という感じをまったく受けない。
焼き畑による灰が貧困を象徴しているように
魅せているものの、
いまいち登場人物の「貧しさ」が見えてこない。

また、経営者と労働者の対立も
幕の内弁当の梅干しレベルの
微々たる強調のされかたしか
してないので、段々物語がブレてくる。

うーん悪くはないのだが、傑作かと
聞かれたらびみょーな作品でしたm(_ _)m

ちなみに、この作品は
東京国際映画祭でも上映されます。
・10/26(月) 17:10~
・10/27(火) 14:10~
TOHOシネマズ六本木にて公開とのこと。
まだチケット残っているようですよ~
※東京国際映画祭「土と影」情報

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