“Ç”カンヌを制した黒沢ワールドはいかに?「岸辺の旅」

岸辺の旅(JOURNEY TO THE SHORE)

岸辺の旅

監督:黒沢清
出演:深津絵里、浅野忠信、小松政夫etc

評価:40点

本年度カンヌ映画祭「ある視点部門」
制した黒沢清最新作「岸辺の旅」を観て来ました。
「トウキョウソナタ」と今作で、
日本人唯一二度目の「ある視点部門」を
制した黒沢清。
「夏の庭」の湯本香樹実原作の
世界をいかに表現したのだろうか…

チョー特殊な幽霊が登場

この作品シンプルな黄泉がえり映画
に見える。浅野忠信扮する夫が3年ぶりに
深津絵里扮する奥さんの元に幽霊として
登場し、旅に出る。
おうおう、ロードムービーの要素も入れるんだ。

っと思った矢先、黒沢ワールドが全開し始める。
現実なのか黄泉の世界か分からなくなる、
不思議なカット割り、突然空間を暗くする
演出でえっとなる。

そして、原作もそうなんだろうが
幽霊なのに白玉団子を食ったり、
旅の途中で仕事をしたりとアクティブ。
しかも他人にも見えているという設定だ。

なんか途中から空間が広がりすぎてついて行けなくなったm(_ _)m
この作品の世界では、幽霊と自覚している人と
いない人がいて、幽霊だと自覚していない人は
突如消えてしまうのだそうだ。

なんとなく、後半になると世界観が分かってきたが、

そもそも、長いスパンで旅する話なのに、
サブエピソードのせいで物語の進行が
悪くなり、また時間感覚を失わせる演出で
ロードムービーの醍醐味である
時間とともに成長ないし失ったものを
見つけ出す過程が喪失してしまっている。

観ていると、妻の知らぬ間に異業種に首を
突っ込みまくっている夫に
連れられて職業体験させられる。
ただそれだけの話になってしまい、
エピソードごとのつながりが
薄っぺらなものへとなってしまった。

カンヌはどこを評価したのか?

どうも観ていると、「殯の森」に近いものを感じた。
外国人が観ると、神秘的で美しい世界に
惚れ込み日本語の脚本が持つ感触をスルーして
高評価をしてしまう。

それと一緒で、この作品も現実と黄泉との
境目をなくしていく不思議な演出が
評価されたのだろう。
ストーリーを観ると、やはり冗長で
エピソードが積み重なって旅の終わりの
切なさないし大団円がよく描けていないと思う。
黒沢清の「リアル」を観たときのような
消化不良を起こしてしまいました…

黒沢清次回作は…

黒沢清

そんな黒沢清ですが、次回作はなんと
我が法政大学国際文化学部教授前川裕の
ミステリー「クリーピー」だ!

犯罪心理学の教授が刑事からの依頼を引き受けたが最後、
隣家が火事になるわ、妻に浮気疑惑をかけられるわ
大惨事になるという話。

出演は西島秀俊、竹内結子、川口春奈他とのこと。
小説めっちゃ面白いってか、教授の生活感が
むわーんと伝わってくるためニヤニヤが止まらない
作品で映画の完成楽しみだな~(*^_^*)

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