“Ç”自宅でヴェネチア映画祭②:「The Fits」不思議なボクサー系ダンス女子

The Fits

the fits

監督:Anna Rose Holmer
出演: Royalty Hightower, Alexis Neblett etc

評価:80点

ヴェネチア映画祭、学生映画コンペ部門出品の作品
「The Fits」を観ました。
ボクシングクラブの後にダンスクラブへ通う
不思議な少女の葛藤を描くユニークな作品だぞ~

ボクシングを取るかダンスを取るか

主人公の女の子は、ボクシング歴が長く、
ボクシングクラブでは貫禄がある。

しかし実は彼女、最近ダンスに興味があり
イケイケな女子たちと踊りたくて
ボクシングクラブの合間をぬって
ダンスクラブへと通っている。
しかし、彼女がダンスクラブへ行くと
必ず誰かが失神し…って話。

スポ根ものだが、ボクシングとダンスを
掛け合わせる観たことない視点に
まずまず「おー!」と感動させられる。

そして、主人公の女の子の作り込みの
細かさにさらに圧倒される。
劇中では主人公のボクシング歴は
明かされないが、パンチの仕方で
熟練度が分かる。
それをダンスの練習シーンに盛り込むことで
高度な技術差を演出することに成功している。

具体的に言うとダンスの練習で、
おぼつかない動きの主人公。
しかし、パンチの動きだけめっちゃキレッキレなのだ!

んで、ダンスクラブのカースト最上級の人との
対比を魅せることで、今までボクシングクラブ
という世界では上流階級だった主人公が
同時に下層階級の世界にも属することを
強調し、その中で「ボクシング」を取るか「ダンス」
を取るかに悩む葛藤を重厚に描いている。

この作品の世界はあくまで学校だが、
社会人に置き換えると、
成長はもうあまり見込めないが地位は安定の「現職」
にとどまるか、更なる高みを目指して
「転職」ないし「独立起業」するか迷う人
と言える。そう考えるとこの作品の
葛藤シーンよく描けているなーと感心する。

失神シーンが意味するもの

ただ、この作品一つよく分からなかったところがある。
主人公が踊ると、必ず誰かが失神するシーン。
『重力の虹』か!(セックスするとミサイルが落ちてくる
ジンクスを持った男の話)」とツッコミを入れたくなる
シーン。

主人公が魔法を持っていた設定のように見えるが、
それだと敵をセコい手で倒してのし上がっていく
映画になってしまいボクシングクラブの熟練
という設定が死んでしまう。

「一人前になるための通過儀礼」が一番妥当な
解釈ではあるが、それだとどうしても
見せ方に難がある。ラストでフォローは
していたものの、このユニークな
ショットもっと良い見せ方があったのでは
と考えてしまう…

とは言え、学生でこんな映画作れてしまうなんて!
うちの学部の映画製作ゼミに比べると…ですね…
凄すぎます!
日本時間で9/10までFESTIVAL SCOPEにて上映中!

FESTIVAL SCOPEの使い方

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