“Ç”カナダの新鋭ヴィルヌーヴが放つダークナイト「プリズナーズ」

プリズナーズ(PRISONERS)

prisoners

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホールetc

評価:80点

最近、カナダ映画が熱い!
昨年のカンヌ映画祭では、
デヴィッド・クローネンバーグ、アトム・エゴヤン、
グザヴィエ・ドラン
とカナダ勢が、
コンペで暴れていた。

そして、「灼熱の魂」で一気に知名度を上げた
新鋭ドゥニ・ヴィルヌーヴはなんと
本年度カンヌ映画祭でSICARIOって作品が
コンペ入りを果たし、新作「ブレードランナー」の
監督にも選出された!

今日はそんなカナダの新鋭ヴィルヌーヴ犯罪サスペンス
「プリズナーズ」を紹介するぞ~

あらすじ

ある、幸せな家族が隣人とのパーティーで
不幸に見舞われる。
自分と隣人娘が何者かにさらわれた!
早速警察に相談。警察官が敏腕だったため、
すぐに容疑者を逮捕するが、
その容疑者は知的障害者で
証拠も決定的なものを発見できず、
その容疑者を釈放してしまう。
心優しき、父親は釈放される瞬間、
その知的障害者の言い放った言葉
から犯人だと断定し、
警察を差し置いて彼を誘拐。
自主的に尋問するのだが…

いや~なミステリー

誰しも、自分の娘や家族を大切に
思うものである。
そんな、家族に危機が訪れたら
父親は黙っていないだろう。

そこにつけ込んだ、嫌らしい脚本。
本当に考えさせられる。
警察の捜査が遅々として進まず、
目の前に犯人がいるのに野放しに
してしまうことへの憤り。
今もどこかで監禁されているであろう、
娘が心配でたまらない父親。
泣けてきます。

ましてや、容疑者が知的障害者
だけにむかつき度が上がる。
知的障害者にも人権があるのだが、
観ていて父親に感情移入すると
こっちまでムカついてくるとんでもない映画だ。

【ネタバレ注意】嫌らしいダークナイト

こっからは、解説なのでネタバレします。
この作品は非常に「ダークナイト」と構造が似ている。

まず犯人の動機が、心優しい一般人をいらつかせ、
犯罪に導くのを目的にしている。
ダークナイト」のジョーカーもバットマンに犯罪を
犯せることを目的にしており、金や権力を
目的にしていない厄介さを持っていた。

これって、どちらも共通して聖書の「サタン」
についての話である。

サタンは元々、神に仕えていたのだが
堕天使になってしまい、
そして、恨みを持つ神に、
過ちを犯させ堕とすことを目的にしている。

故に、主人公の2家庭は「神」のポジション。
犯人は「サタン」である。
その二つの対立の間に、
「警察」という第三者を絡めることで
非常に複雑かつ面白い人間ドラマが
生まれてくる。

元々、父親はウルヴァリンだったw
から腕っぷしが強く、
優しい男から暴力的な男に進化する
その過程。隣人も道徳観をどんどん
失っていく…この地に堕ちていく
様子がリアルで怖い。

しかも、警察目線でも描かれるから
観ている者も時折「ハッ」と
自分もサタンに陥れられている
ことに気づくのが本当に怖い。

ある程度まで、行くと犯人も分かってしまい、
結末が予想できそうになるが、
最後にメチャクチャかっこいい「ひねり
まで入れてくる。「複製された男」といい
ドゥニ・ヴィルヌーヴさん、すげーわ!

彼の新作「SICARIO」公開が楽しみである。

↑「SICARIO」予告編

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