“Ç”今じゃ撮れない児童虐待映画「鬼畜」

鬼畜

鬼畜

監督:野村芳太郎
出演:緒形拳、岩下志麻etc

評価:90点

最近まで、野村芳太郎監督は
厳ついミステリー映画の帝王
だと思っていた。

ミステリー映画が苦手な
ブンブンはかなり避けていた
監督だが、先日紹介した
震える舌」そして「鬼畜
を観て、作風が園子温やな
と感じた。
もしかすると、園子温
野村芳太郎の作風に影響
受けているかもしれないね。
そんだけ、ヴァイオレンスで
嫌らしいショットを魅せてくるのだ。

ってことで、今日は
タイトルからヤバめの
「鬼畜」を観てきたぞ。

あらすじ

印刷屋を営む夫婦。
夫は不器用で弱々しく
見えるが、実は不倫を長年
しており、愛人との間に
3人の子を作っていた。
んで、定期的に仕送りを
送っていた。

しかし、印刷屋が火事に見舞われ
転落の人生へ…
家計は一気に苦しくなり、
夫は愛人に金を送らなくなった。
すると、ある日愛人が子どもを
連れて殴り込み。
子どもを置き逃げしてしまう。

妻に不倫がバレ、気まずい夫。
妻は、腹違いの子どもに
虐待をするようになる。

追い詰められた夫は…

緒形拳が!岩下志麻が!

もう、今じゃどっかの委員会が
キレて抗議運動をし、
絶対撮れないであろう強烈な
虐待シーンの連続である。

岩下志麻が、末っ子にご飯を無理矢理
食わせ窒息させようとしたり、
罵声に殴ったり、とにかく暴力的。
暑苦しい、夏を思わせる描写で
さらに嫌らしさが強調される。

んで、緒形拳がまたとてつもない演技をする。
家計が火の車で、銀行に営業に行ったり
家事をすべて自分一人で行う。
弱々しい、哀愁の漂う雰囲気が
半端ない。緒形拳って強そうな役柄が
多いイメージだが、見事に冴えない人を
演じきっている。それが、後半ひょっとした
拍子に文字通り「鬼畜」になった時、
いつもの
緒形拳がにじみ出て怖いこと怖いこと。

もう、「冷たい熱帯魚」を観ている
ような戦慄の空間でしたw

エンディング問題

エンディングで、長男が夫のことを
パパじゃない」と言うシーンで、
凄い解釈が分かれているそうなので、
ブンブンも考察してみる。

あれは、父親をかばう一方で
「鬼畜」になってしまった父親
は、長男の知っている「父親」
じゃないと壁を置いているん
じゃないだろうか?

まず、長男は両親がヤバいことを
しているのを察している。
んで、父親から凄い仕打ちを
受けても「おうちに帰ろう」
と言っていた。
あんだけ、酷いことされても
その台詞が出るってことは
父親を愛していると言える。
んで、ラストの取り調べの
シーンでも黙秘を
貫き通していることから
やはり父親を擁護しようと
している。

しかし、一方でラストの
台詞で父親という存在を
否定した。
愛しているのに父親を
否定した。一見、
父親をかばう為についた
嘘と思えるが、
あまりにも強烈な否定の
描写だったので、
おそらく「鬼畜」になった父親
の否定と捉えた方がいいのでは
と感じた。

つまり、父親は好きで
どんなに酷いことをされても
擁護する立場でいるが、
長男は昔の父親を愛しているので
あってラストの父親に対しては
拒絶している。でも、昔の
父親に戻ることを祈っている
描写がラストに描かれていると結論づけました。

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