“Ç”死人ゼロだが猛毒・園子温ワールド「ラブ&ピース」

ラブ&ピース

ラブ&ピース 映画

監督:園子温
出演:長谷川博己、麻生久美子、渋川清彦、西田敏行etc

評価:55点

今年5本の映画が公開予定と
クレイジーを究めている園子温監督。

流石に5本も作るとなると、
三池さんや廣木隆一みたいに自分の撮りたい
作品を作る資金作りで作ってる感が
溢れ作家性押し殺した作品かなと思ってしまう。

…しかし園子温は違った。

誰も死なないPG指定でもR指定でもない
この作品は想像以上に猛毒で、
園子温ファン以外にはクセが強すぎて
きつい作品といえようw

どうか、しているww

冒頭から、不穏な音楽・「時計じかけのオレンジ
を思わせるサイケデリックな音楽で
いやーな予感が映画に立ちこめる。

そして、長谷川博己扮する夢をあきらめた
サラリーマンが会社でいじめられる様子が
描かれているのだが、これがかなり怖い。

なんと、会社だけでなくテレビや街中の見ず知らずの
人からも悪口を言われまくるのだ!

そして、長谷川博己は常時狂った役を演じている。
町山智浩が「一度たりともまともではない」
と言っていたが、本当だった!
歩き方、甲高い声で興奮しながら話す様子…
頭おかしすぎて爆笑である。

そして、物語の核を担うあるギャグが
不謹慎すぎてヤバい!

この時、
人は死なないし、小学生も観られるレートだが
正真正銘のアクの強いいつもの園子温映画だと
気づかされる。

…と見せかけて怪獣映画

一見、シュールなヒューマンドラマ
に見えるが、この作品・怪獣映画である。

その怪獣映画に切り替わるまでの流れ
もどうかしている。

予告編にもあったが、
何故か長谷川博己が買った
かめが便所にながされ、
下水道で西田敏行と
接触する。

今や時代遅れに見える、
人形劇チックな展開になりるが…
どう考えても巨大化と結びつかない。

これは映画を実際に観て驚いて
頂きたいのだがむちゃくちゃだ!

西田敏行の役柄も衝撃的だが
(西田敏行曰くすんげー過酷なロケだった模様)、
それ以上にぶっ飛んでいる。

奇をてらいすぎて…

5作も映画を作るのに、全く色あせない
園子温映画、もうこれは完全に
園子温ファン向けの作品だとわかった。

しかし、「愛のむきだし」「地獄でなぜ悪い」等
今までの園子温映画はツッコミできぬぐらい、
圧倒的にぶっとんでいたのだが、
この作品は奇をてらいすぎて脇がすんげー甘い作品
になっていたのが残念だ。

まず、ストーリーが根本的に
長谷川博己、何も成長してなね~

最終的に、国民的スター歌手になる彼なのだが、
一切彼の実力で上り詰めていない。
かといって、天に上り詰めて突き落とす展開も
なく、終わらせ方も中途半端だ。

男版「シンデレラ」をやりたいのであれば、
物語の終着点を、きちんとアリーナライブ
のシーンに落とし込む必要があった。

また、西田敏行側のストーリーが
結構ストーリーの邪魔になっている気がした。

あれはあれで別の映画に出来たろう。
長谷川博己サイドとストーリーの性質が
違いすぎて不協和音が発生していた。

とはいえ、またしても「地獄でなぜ悪い」張りに
やりたい放題の園子温。
お笑い芸人に最近なったらしいが、
お笑いのスキルも存分に盛り込まれていた為、
園子温好きにはやっぱりたまらない作品である。

さて、次回の「リアル鬼ごっこ」はどんな
ワールドを魅せてくれるのだろうか?
「ラブ&ピース」予告編


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