2014年BUNBUNのベスト10映画~外洋画部門~

1.ホドロフスキーのDUNE


明らかにDVDの特典映像にありそうな映画の制作秘話。
しかし、そもそも完成すらしていないホドロフスキー監督作「DUNE」。
ヘタすると、悪口大会。ただの夢物語になってしまうような内容を
カルト映画の巨匠ホドロフスキーや関係者がユーモラスにプレゼンする。
そのプレゼンがあまりに面白すぎて本当に彼の「DUNE」が観たくなる。
これぞ本当のプレゼンだなと感じた。
しかも、「DUNE」を作るための宣伝映画のように思えてくる作品。
笑顔で夢を語りまくるホドロフスキーがラスト、映画業界に怒り始めてから
の下りはこの作品がただのドキュメンタリー映画ではないことを物語っている。
ホドロフスキー、尊敬します。
「ホドロフスキーのDUNE」予告編

2.ウルフ・オブ・ウォールストリート


ディカプリオにはもはやタイタニックのようなロマンチックさはない。
近年「ジャンゴ」「華麗なるギャツビー」等、闇のある大富豪を
演じまくっており、
もはや十八番芸になりつつあるが、この作品はまさに彼の集大成。
ドラッグ、酒、女、そして金に溺れた冗談のようなジョーダンさんの実話
を狂気的に演じ映画館で笑い死にしそうになった。
無論、ホリエモンですら、まともな文章書くのにあんな誇張ばかりでハチャメチャな原作を年老いてもノリノリで映画化しきったスコセッシ、凄すぎである。
さりげなく、Fワード使用回数「パルプ・フィクション」に勝っている点も
また爆笑である。
留学中、ずっとこの映画の
ディカプリオを意識して
鬱を乗り切ったぞ!
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」 予告編

3.MOMMY

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グザヴィエ・ドランがまたも快進撃!
通常の映画では演出の一部でしか使われない、1:1の画面比を
劇中ほとんどで使うというヤバさ。
何がヤバいかというと、通常の横長画面比は人間の視野角に
合わせるため多少の演出ミスも誤魔化しやすいのだが、
1:1は違和感ありありの画面比。総てのシーンをクールに
撮らないとすぐ酷評に繋がる、あるいはただの芸術映画として
扱われてしまう。しかし、彼は総てのシーンがInstagramのように
洗練されている。しかも、ストーリーはシンプルを極めた波乱の子育てものに
ADHDというシリアスな話題とケベック地域ならではのフランス語&英語問題を
付け加えることで、全く観たことのない映画を作り上げる。今のところ彼の作品総てホームラン級に楽しめている。天才だw
「MOMMY」予告編

4.追憶のローマ


ロマンチック且つクールなこの哲学的映画に惚れまくった。
冒頭の真夜中のダンスシーン。別れた女性が実は自分のことを
想ってくれたという泣けてくる話。後からじわじわ切なさがこみ上げて来る。
フェリーニならではの判る人にしか判らせないような構造に、
「失われた時を求めて」という長大ロマンチック映画の要素を盛り込み、
人生をローマと共に散歩する。段々心の奥から物語が判ってくるこんな映画
滅多に観られるもんじゃない。また観たい、そしてローマに行きたくなったぞ!
「追憶のローマ」予告編

5.アクト・オブ・キリング


「地獄でなぜ悪い」を実際にやってしまったトンデモ映画。
インドネシアのヤクザが自分たちの行った虐殺を制作者側の煽りで
映画化する様子。恐ろしくも、ノリノリで当時の虐殺を再現していく
ヤクザたちの間抜けさに爆笑。本当は被害者を撮る予定が、
トラウマによりなかなか真実を語らなかったから、
逆転の発想で撮ったって…度胸凄すぎである。
「アクト・オブ・キリング」予告編  

6.6才のボクが、大人になるまで。


今年は、映画史に残る
トンデモ映画が多い。
この作品は制作期間12年の作品だ。
10年ぐらい掛かる作品と言えば、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」
を思い浮かべるが、子役を12年間撮るなんてと思うといかに
難題かわかるだろうか?
子役はよく、大人になると途端に挫折し芸能界から消える。
しかし、この子役は6才から18才まで演技に飽きてやる気を失う、
不祥事を起こすことなく自分の別の人生を演じきった。
脚本も役者が皆考えて作り上げる。結末を書かないで映画を作り失敗する
ことはよくあるが、これは「カサブランカ」級に成功した。
内容も白黒やセピアといったノスタルジー描写の常套手段を禁じておきながらノスタルジックな学園もの、家族ものを重厚に描いていたので感無量だ。
こんな壮大なプロジェクトを達成したことはまさに映画界の宝である。
主人公に反抗期がないことは
最大の惜しい点だが
そんなの関係ないぐらい良かった(^^)
「6才のボクが、大人になるまで。」予告編

7.ゴーン・ガール


トンデモサスペンス。ネタバレだらけなので、コメントがし辛いのだが、
物語の1/3でマスコミやネット社会の恐怖を描き、物語の2/3で疾走した
妻の逃避行を描き、残りで結婚とは何かについて語る。
一つの映画に3つの要素を巧みにぶち込む。
ヒロインをロザムンド・パイクという無名に近い人を使い
スターに育て上げるデヴィッド・フィンチャーの技量に驚かされた。
マジで怖い映画だw
「ゴーン・ガール」予告編

8.THE TRIBE

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カンヌ震撼ウクライナが放った
手話だけの映画。
障害者を「憐れむ対象」として
描くのではなく、
「役者」として出演させる映画は、
ファレリー兄弟
が開発した技術だが、
これはコメディではない。
「ギャング映画」だ!
寮にやってきた青年が、チンピラにしごかれるものの、
段々頭角を現していく、そして大惨事になる栄枯盛衰を
手話だけ字幕無しでやってのける。
英語はズルいなといつも思うが、これで同じ土俵。
何を語っているか判らないが、無茶苦茶えぐいことが
静かに行われる。何故アンジェのミニシアターはR指定かけないのか
疑問に思う作品でした。
「THE TRIBE」予告編

9.シンプル・シモン


スウェーデンが描くアスペルガー症候群についての映画。
大概、障害を扱った作品ってシリアスに描きがちだがこれは
ロマンチックコメディ。
アスペルガーの少年が兄の恋愛成就を達成すべく東奔西走。
実は数年前に沖縄国際映画祭で観たときには、あまり良さが判らなかったが
なるほど。こんなにオシャレ且つユニークなアプローチで障害に向き合う映画
って珍しいよね。しかも、ファレリー兄弟作品のように癖が少なくさっぱり系だ。
「シンプル・シモン」予告編

10.アデル、ブルーは熱い色


今年はイヴ・サンローランのゲイゲイしい映画やTHE TRIBEのように
トラウマ映画が多いが、
その始まりはコレだった。友達と3人で軽い気持ちで観て
あまりの重さと癖の強さに正直疲れた。しかし、日が経つごとに
フラッシュバックを
繰り返しこの映画が忘れなくなっていった。そして、原作購入。比較したらやはり、ただ者ではない作品だ。原作は正直思春期の女子が趣味で描いた為か、「セカチュー」チックありきたりな話なのだ。しかし、ケシシュ監督は徹底してガールズトーク。しかも大学入試バカロレアの哲学についての議論、写実的なセックス描写、超至近距離撮影を挿入しまくることで、「真実の愛」を丹念に語る映画を構築した。アダルトなエリック・ロメール的世界観に魅了されました。
「アデル、ブルーは熱い色」予告編

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