2014年BUNBUNのベスト10映画~家邦画部門~

1.鴛鴦歌合戦


学校の映画の授業で先生が「笑えるけど泣ける」と絶賛していた。
タイトルは厳ついし(「おしどり」って読めねーよ!)、白黒だから
敬遠していたが、観て納得。実は「マダムと女房」同様、初期の
ジャパニーズミュージカルのクオリティは高かった!
片岡千恵蔵病気のため、2時間だけ出演させ、1週間で撮影を終わらせたマキノ正博。
主役を巧みに千恵蔵からディック・ミネ、そして志村喬へとシフトしていくハイクオリティさにビックリしました。そして、コミカルな音楽に笑い、切ない恋物語に泣いた。
小津安二郎映画同様、食わず嫌いしてはイケない生涯指折りの大々大傑作でした。
「鴛鴦歌合戦」映像

2.さようならCP


「ゆきゆきて、神軍」の原一男はデビュー作から尖っています!
脳性麻痺CPの患者が、家で引きこもるのではなく外に出ることで
社会に存在を訴えようとする
様子を捉える。
実際にあんなことされたら逃げるだろうなと思う、
彼らのアグレッシブな活動も強烈に見せつけられると
段々意図が分かってくる。新しい考え方を植え付けられました。
「さようならCP」映像

3.甘い鞭


「私の奴隷になりなさい」で衝撃のデビューを果たした壇蜜が、
あの、アノ!ロマンポルノの巨匠・石井隆の映画に!アベック竹中直人するなんて
夢の映画だと部屋で爆音映画祭したら家族から総スカンを食らった問題作。
原作が小説だけに、やたらと文芸的で、日活ポルノのドラマ性を維持しつつ
また重厚な官能描写を魅せてくれた。
竹中直人の一声でM役からS役へと変貌する壇蜜!やっぱ演技上手いわ。
ただただ、喘ぐだけでは観客を満足させられないことを分かったような
演技に興奮しました。
「甘い鞭」予告編

4.HANA-BI


実は、中学生の時に観て寝た映画。
武映画は癖が強いので慣れる必要があったようだ。
今回二度目の鑑賞で、神作に昇進した。
何故か武が悪を企むと、チンピラが協力する滑稽さ。
武のシュールな絵とラブストーリーのシークエンス。
そしてなんと言っても、間の使い方が素敵だ。
個人的に武が銀行強盗する場面のギャグは
死にそうになるぐらい笑った。
「HANA-BI」予告編

5.青春の殺人者


染谷将太大絶賛の作品。
今や「相棒」の丸顔メガネ
警部のイメージ強い
水谷豊にも「太陽を盗んだ男」の沢田研二のような時代が
あったんだなーと衝撃。
タイトル通り、暑苦しい殺人場面が見物で、ラストまで
魂燃え上がります!
そんな熱い世界のバックに流れるゴダイゴの曲がまた良いんだよね~
そんな、すんげー映画を作った長谷川和彦は「青春の殺人者」と
「太陽を盗んだ男」しか制作してない…惜しい監督である。
「青春の殺人者」予告編

6.愛の亡霊


Jホラーの恐怖要素として、「何度も復活する一つの何か」がある。
沢山出てきて暴れるゾンビとは違い、何度殺しても同じ物が復活し
襲ってくる絶望に人々は恐怖すると思う。
この作品は「四谷怪談」物とは違い、ゾンビのような滑稽さを出しつつ
マジで怖くなった(汗
まるで、「ゾンビ」のように厚化粧バレバレ、リアリティゼロのお化け。
しかし、「成仏してくれ」と何度も復活、主人公たちを苦しめ
発狂していく過程に段々怖くなる。
「愛の亡霊」予告編

7.ライク・サムワン・イン・ラブ


イランの巨匠キアロスタミがユーロスペースと協力して制作した作品。
外国人が日本を描くとろくな事にならないが、イラン人が映画化すると「CUT」もそうだが、どうも「邦画」になるらしい。
冒頭から、キアロスタミ本気で小津のパロディをやってのける。
おばあちゃんが東京に遊びに来たのに、構ってあげられない娘の
描写は「東京物語」そのもの。泣かせにかかる。そして、後はキアロスタミ十八番の会話による哲学を展開。
娘とおじさん、そして悪いカレシとの口論、微妙な心の動きを丹念に
綴る。実際にこういうカレシいるよね~ってか加瀬亮怖!
心地よい気まずさがそこにはあった。
「ライク・サムワン・イン・ラブ」予告編

8.子連れ狼 三途の川の乳母車


三隅研次は徹底的に「斬る」を追求した監督と町山智治が語っていたので、
挑戦したら…最近のバイオレンス映画に全く引けをとらない
ビックリ殺戮映画だった。
砂丘から忍者みたいな敵が現れたり、壁に刀を投げつけ
敵を貫通死にいたしめたりとにかくカッコいい!!
マジでタイトル通り三途の川直通の旅路ですぞw
「子連れ狼 三途の川の乳母車」予告編

9.新幹線大爆破


キアヌリーブス主演の「スピード」の設定はもろこの映画からパクっているw
しかし、アメリカのアレとは違い、敵に感情移入してしまうほどの
存在感の演出、
そして国鉄の許可が下りなかったため、気合いで創り上げた特撮技術
があまりにもハイクオリティなため、「スピード」がB級映画に見えてきます。
高倉健、田中邦衛、千葉真一、皆キャラが立っていて感動のアクションサスペンスでした。
「新幹線大爆破」予告編

10.エロス+虐殺


本当は森田芳光脚本の「免許がない!」がランクインするところが、図書館で借りたコイツを観て順位逆転。
アナーキスト大杉栄の人生を現代の若者が探り考察する。
所謂、「永遠の0」と同じようなプロットなのだが、映像の洗練されっぷりと「考察」の描き方に別次元の感動を覚えた。
所詮、歴史は誰かによって書かれたものに過ぎないというニヒルさを強調する後半にかけて幾度となく繰り返される
大杉栄殺害シーン。女の妖艶な動き。「書を捨てよ町へ出よう」の最大の欠点である「ダサさ」を排除した演出に完全に惚れ込んだ。
壁の使い方に注目である。
「エロス+虐殺」予告編

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