テレビの世界に惚れた時代の懐古「夏をゆく人々」ウィーンのミニKINO DE FRANCEにて

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オーストリアの映画館は基本
ドイツ語吹き替えのようだ!
しかも、目当てのケン・ローチ
最新作は土曜日だけの上映
とのこと~_~;

映画館ハンター初心者の私は、
Google先生の助言に従い、
オリジナル言語の映画館を
探したら、なんとホテルの中に
ある映画館「KINO DE FRANCE」
を発見!

しかも、フランスで上映していない
カンヌもの「LE MERAVIGLIE」
をやっているではないか!
Google先生曰く、
英語音声ドイツ語字幕だぞ‼︎
んっイタリア映画なのに、
英語?と疑問を抱きいざ
映画館へ…^o^
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受付はコンセと一体化、
キネマ旬報シアターのような
雰囲気。慣れないドイツ語
タイトルを言い、いざ潜入。
7ユーロなり^o^
おっと、上映5分前じゃないと
入れないってか
「誰よりも狙われた男」の
オチだけ観そうになったぜ、
あぶね!

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監督 :アリーチェ・ロルヴァケル
出演:アレクサンドラ・ルング、
サム・ルービックetc

子ども時代、テレビの世界に
憧れたことはありませんか?

大人になると広告だらけ、
プロパガンダ、汚い世界しか
想像できなくなるが、
このカンヌ映画祭グランプリ作
「LE MERAVIGLIE」を観ると、
あの華やかで楽しそうなテレビの
世界に惚れた時代を思い出す
であろう。

閉鎖的な家父長制のもと、
学校に通わせてもらえず、
家業である蜂蜜製造を手伝わされ
ている子どもたちの前に
テレビのロケ団がやってくる。

彼らは田舎のエキゾチックな
特技を持った人を探しており、
ビラを配り始める。

初めて目の当たりにする華やかな
世界に長女は釘付け!
でも父は許してくれない。
男女差別、姉妹差別に苦しみ
ながら少女はテレビ参加を目指す…

フィルム撮影、そして子ども
目線の話、なんかヴィクトル・エリセ
やアッバス・キアロスタミの
ような、ほのぼの感と社会批評が
ある。

この作品は「夢を掴む過程もの」
というジャンル映画に、
絶妙な「差別批判」を織り交ぜる。
キーとなるのは、突如家に
ホームステイし始める男の子。

施設から預かったその少年は、
一切話さない、しかも触られる
ことを極度に嫌う奴。

そんな奴が、蜂蜜瓶詰め作業を
手抜きしているのに、父は長女を
怒る。長女だから、妹たちの
面倒もみないといけない。
そんなツライ状況で夢すら
叶えてもらえない。
でも、その状況を母は
熟知している…
もう泣けてくるねー
ブンブンも長男だけに
彼女の気持ちよく分かる。

いいとこは周りに取られ、
貧乏くじばかり引かされる
感じ。そりゃ、人生に一度の
チャンスに特技がなくても
テレビにでようとするわけだ。
このフツーの女の子が
大舞台に殴り込む滑稽さは
「リトル・ミス・サンシャイン」
のよう。

日本でもまだまだ女性の力が
男性と対等のいきに達していない。
女性同士でも男性にものを
言って共通の差別を撤廃させる
ことは頻繁には起きてないように
見える。

だからこそ、この純粋で
笑える話なのに次第に
泣けてくるのだ。
しかも、最後には見事に
長女が大人に十歩近づいてくれる。
女性監督ならではの目線で
完成させた、女性の為の映画。
もちろん、男性も観るべし!

実は結局イタリア語音声だったから
詳しい会話はわからない。
故に日本公開を切望する作品である。

※今夏、岩波ホール他全国ロードショー

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